「オープンワールド」ではあっても「フリーシナリオ」ではない
その気になればどこまでも行けるひと繋がりの世界。つまり「オープンワールド」というのが本作で強く推されているポイントの1つだが、これについては正直、プレイ前の想像とはだいぶ違う印象だった。
「オープンワールド」と聞くとどこからでも平等に攻略を進められる「フリーシナリオ」を連想してしまうが、本作はそうではなかったからだ。
例えば8人のジムリーダーの強さは固定のため、基本は弱い順に攻略していく「導線」が用意されている。ほかのルートも同様で、どの順番でも挑戦は可能だが基本は一本道(リニア)の攻略になるわけだ。
これがもし、「挑んだジムの順番で強さが変わる」という形だったら、プレイヤーによって異なる挑戦ルートになっただろう。場合によっては「あとに残しておくと厄介なジムリーダー」なんてのがいて、先にそっちを倒しておくことでラクになる、なんてドラマも生まれたかもしれない。
よくも悪くもそうした「導線」が用意されている点が、「オープンワールド」という言葉から連想される、自由な冒険との印象違いを生む要因だったと思う。
そのほか、ポケモンが頻繁に出現したり消えたりする点、トレーナー戦の直後に野良ポケモンがプレイヤーに重なってて連戦させられる点、カメラの挙動がおかしくなって壁の中や地面の下の空間が見えてしまう点など、改善してほしい挙動もチラホラ。
ただし上記のようなポイントこそ気になったものの、「自由に駆け回る」楽しさを十分に味わえたことは主張しておきたい。ついつい寄り道したくなるマップに、まだ見ぬポケモンを見つけた時のワクワク感。「自由に冒険する楽しさ」は、本作で確かに味わえる。
さらに言うなら、「ポケモン」は全世界で1000万本も売れるようなヒットタイトル。CERO「A」でもあり、誰もが迷わないよう導線を用意しておくのは至極当然の配慮だとも思うし、導線が悪いというつもりはまったくない。
なんなら導線が気になるプレイヤーは勝手に道を外れたって構わない。先に強いジムリーダーから挑んだところで、「ジムバッジを●個持ってないから挑戦できません」と門前払いされることもないのだから。
そういう「道は示すけど選ぶのは自由」という意味では、確かに本作はオープンワールドの「ポケモン」であり、これまでにない、新たな形を示した意欲作であると言えるだろう。
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