アップルCEOのティム・クック氏が、来日に合わせて日本のApp Storeで活躍するデベロッパーを訪ねました。この日は意欲あふれるデベロッパーをアップルが支援する「App Store Foundations Program」が、先行するヨーロッパ以外の国・地域で初めて2023年1月上旬にローンチすることも発表されました。
クック氏がApp Storeで人気の「日本発アプリ」を体験
この日、クック氏は3社のデベロッパーが開発したアプリを体験しました。
ひとつはWhatever(ホワットエバー)が開発した「らくがきAR」です。フリーハンドで描いた“らくがき”のイラストをiPhoneやiPadのカメラで読み込み、デジタルキャラクターを生成。カメラでとらえた背景画像に重ね合わせて、デバイスのスクリーン上でキャラクターのコミカルな動きが楽しめるユニークなARアプリです。
デザイナー・クリエイティブディレクターとしてアプリの開発に携わった宗佳広氏は、「世界がコロナ禍による影響に見舞われ、多くの方々が巣ごもり生活を続ける中、室内でARエンターテインメントを楽しめるアプリをつくることで人々に貢献したいと考えた」と、らくがきARを開発した動機をクック氏に語りました。
iPhoneのカメラで読み取ったらくがきキャラクターは、すぐさま活き活きと動き始めます。アップルのデバイスによるスムーズな体験を実現しているところも、このアプリの特長。クック氏もアプリを試しながら「キャラクターの動きがとても自然だから愛着が持てますね」と、宗氏に印象を答えていました。
Fantamstick(ファンタムスティック)は「算数忍者AR〜対戦!箱かぞえの巻〜」や「国語海賊〜小学漢字の海〜」に代表される、子ども向け学習アプリを精力的に手がけるデベロッパーです。代表取締役社長CEOのベルトン・シェイン氏は、「子どもたちがゲームのように遊び、ワクワクしながら算数・国語など教科の知識を学べるアプリをつくりたかった」と、人気のアプリが誕生した経緯を振り返りました。
「算数忍者AR」を起動して、iPhone/iPadのカメラで現実世界の風景をキャプチャすると、画面の中に沢山の立体的なARオブジェクトが描かれます。子どもたちはデジタル仮想空間の中でキャラクターたちとふれ合い、次々に出題されるクイズを解きながら伸び伸びと「学びに没入」できるところがアプリの大きな魅力です。シェイン氏は、「国語海賊」アプリを試験的に導入して試した小学校の事例を紹介。漢字の書き取りの授業では、手書きのノートよりもアプリを使った方が、同じ時間内に生徒たちが漢字を早く覚えることができたといいます。シェイン氏の説明を聞いたクック氏も、デジタルテクノロジーを上手に活用した新しい学びのかたちとの出会いに関心を寄せていました。
画像処理を専門とする研究開発型ベンチャー、QONCEPT(コンセプト)は代表取締役社長兼CTOの林建一氏がiOS専用アプリ「Golfboy(ゴルフボーイ)」をクック氏に紹介しました。ゴルフボーイはiPhoneのカメラを使って、ゴルフのスイングチェックやパター練習を室内でも快適に実践できる斬新なアプリ。LiDARスキャナを内蔵するiPhoneは、スイングの軌道を立体的に把握できることから、実践に近い本格的なシミュレーションゴルフも楽しめます。
クック氏もゴルフをたしなむそうです。自身でパターを握り、アプリのデモンストレーションを体験したクック氏は開口一番「とても創造性にあふれるファンタスティックなアプリですね」と嬉しそうに笑みを浮かべていました。
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