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最新パーツ性能チェック 第392回

RTX 4080よりも高解像度で、高いリフレッシュレートが出力可能!

AMD Radeon RX 7900 XTX/XTがRTX 4080を上回れるのか?【前編】

2022年12月12日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

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ハイエンドだけに消費電力も大きい

 消費電力については、まずシステム全体の消費電力をざっくり確認したい。ラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を用い、システム全体の消費電力を比較する。アイドル時とはシステム起動10分後の安定値を、高負荷時とはTime Spy(3DMark)のGraphics Test 2実行中のピーク値となる。

システム全体の消費電力

 最近のGeForceはRTX 4090の常識外れの仕様から大消費電力というイメージが付いてしまったが、RTX 4080の消費電力はそこまで大きくない。これを基準にするとRX 7900 XTXは約50W上、RX 7900 XTはほぼ同等という結果になった。

 RX 7900 XTXの消費電力が大きいのはTBPが355Wと大きいためであり、RX 7900 XTはRTX 4080のTBPに近い315W(RTX 4080は320W)であるため、ということになる。RTX 4080とRX 7900 XTXの消費電力の差はTBPの差より大きいが、TBPは平均値であり、ここでの消費電力はピーク値であることの差からくるものだ。TBPの正確な差については後編で検証することにしよう。

「Assassin's Creed: Valhalla」ではRTX 4080を凌駕!

 ここから実ゲームによるベンチマークとなるが、AMDはRX 7000シリーズを“ワットパフォーマンスで強い”GPUと位置付けている(他にコストパフォーマンスはもちろん、カードサイズ当たりのパフォーマンスなる謎指標まで持ち出し、RTX 4080より優れていると謳っている)。

 そこで今回はRTX 4080レビューと同様に、解像度ごとのフレームレートに加えてベンチマーク中の平均TBP、さらにTBP10Wあたりの平均フレームレートも比較する。

 ただRadeonではGeForceのようにWindows上のツールでTBPの取得が難しいため、NVIDIAの電力計測ツール「PCAT v2」を利用してベンチマーク中に何W使ったか正確に計測することにした。合わせてフレームレート計測ツールも「FrameView」を使用している。

NVIDIAのビデオカード専用電力計測ツール「PCAT v2」。ツールそのものの解説はこちら(https://ascii.jp/elem/000/004/026/4026360/)を参照のこと。v2では12VHPWRを直接接続することが可能になっている

 最初に試すのは最近Steam版がリリースされた「Assassin's Creed: Valhalla」である。これはRadeonへの最適化が非常に高いゲームであるため、RX 7900 XTXでは高フレームレートが期待できる。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Assassin's Creed: Valhalla:1920x1080ドット時のフレームレート

Assassin's Creed: Valhalla:2560x1440ドット時のフレームレート

Assassin's Creed: Valhalla:3840x2160ドット時のフレームレート

 RTX 4080は(GeForceの割に)かなりフレームレートが高い印象があるが、RX 7900 XTXはその10〜12%上をいく。最低フレームレート(正確には下位1%以下の平均値)においてもRTX 4080を終始圧倒している。これに対しRX 7900 XTはフルHDでは平均フレームレートにおいて並んでいるが、解像度が上がるとわずかにRTX 4080の下とった感じのフレームレートになる。Infinity Cache入りの320bitメモリーバスを持ったRX 7900 XTよりもInfinity Cacheのない256bitメモリーバスしかないRTX 4080の方が若干性能が良い点が少々残念だ。

 ではこのフレームレートのデータを計測した際、各カードがどの程度電力を消費したか、即ちTBPの平均値を比較してみよう。前述の通りTBPはPCAT v2を通じて計測された“実測値”である。

Assassin's Creed: Valhalla:ベンチマーク中のTBPの平均値

 同じ処理をさせても実際にカードがどの程度の電力を消費するのかは、一般的には解像度が高くなるほど増え、スペック上のTBPやTGPが増えると高くなる(例外はあるが)。ここではRTX 4080はセオリー通りの増え方をしているといえるし、RX 6950 XTはファクトリーOCモデルならではの電力消費の激しさを示している。

 ではRX 7900 XTX/ RX 7900 XTはと言うと、どの解像度でも非常にフラットな電力特性を持っているように見える。フルHDのように処理に余裕のあるときは積極的にブーストしてフレームレートを稼ぐような設計になっているからだと推察されるが、結果的に消費電力は全般に高めとなってしまった。

 これをワットパフォーマンスという観点で眺めるために、各解像度における平均フレームレートをTBPで割り10倍したもの、つまりTBP 10Wあたりのフレームレートを比較したのが下の表だ。

Assassin's Creed: Valhalla:各解像度におけるTBP 10Wあたりのフレームレート

 RDNA 3はワットパフォーマンスの高さを強く志向したGPUであると解説したが、Assassin's Creed: Valhallaでは正反対の結果となった。RX 6950 XTを基準にした場合でも、フルHDやWQHDではワットパフォーマンスは向上しているがAMDの言うところの50%以上の増加は確認できない。

 4KになるとRX 6950 XTは息切れを起こす(メモリーバス幅の狭さが原因)ためワットパフォーマンスは54%(AMDの宣伝通りの値)向上が確認できた。

 RTX 4080に対してはフレームレートで勝ったものの、ワットパフォーマンスでは逆にダブルスコアーで負けるという皮肉な結果に終わった。RTX 4080のベンチマーク中のTBPが低いのはGeForceに対する最適化が甘く、結果としてGPUハードが回りきらないのが原因と考えられるが、それがRTX 4080のワットパフォーマンスを輝かせる原因になってしまったのだ。

お詫びと訂正:掲載当初の「Assassin's Creed: Valhalla」のベンチマークデータは、誤ったデータソースからグラフが作成されていたものだったため、考察も間違っておりました。正しいグラフと考察に差し替えました。読者および関係者の皆様に深くお詫び致します。(2022年12月15日5時50分)

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