高校生・高専生のビジネスマインドを育む全国規模のビジネスプランコンテスト、ファイナリスト発表
「第10回高校生ビジネスプラン・グランプリ」ファイナリスト発表 記者発表会レポート【後編】
「経験と人との縁こそが、最大の財産になる」
起業家として活躍する卒業生からの応援メッセージ
今回で10回目となる「高校生ビジネスプラン・グランプリ」では、これまでに多くの高校生・高専生が挑戦してきた。過去の参加者のなかには、このグランプリ参加をきっかけに、実際に起業した卒業生もいる。
記者発表会では、起業を実現した一人であるWELY株式会社CEOの松岡奈々氏から、高校生・高専生たちに向けた応援メッセージの動画が紹介された。
松岡奈々氏は、京都府立桂高等学校在学中に、第1回準グランプリ、第2回優秀賞、第3回ベスト100と、3年連続で「高校生ビジネスプラン・グランプリ」に参加した経歴を持つ。その後、2017年5月に合同会社WELLNESONE JAPAN(現・WELY株式会社)を設立、同年には公益財団法人 孫正義育英財団の1期生に選出された。
2018年から、ベトナムのダナン市で保育園や教育施設の立ち上げや運営に携わってきた。2020年には、Forbes JAPANによる「世界を変える30才未満の30人」のHEALTHCARE & SCIENCE部門を受賞。現在はベトナムのダノン市で食材の宅配事業などにも取り組んでいる。
「『高校生ビジネスプラン・グランプリ』に出るまでは、ビジネスとは無縁の人生を送ってきた」と話す松岡氏は、出場したことで、人生が大きく変わったという。参加したきっかけは、在籍していた学校の先生の勧めだった。
高校で農業を専門的に学んでいくうちにその奥深さを知り、京都の伝統野菜の栽培や栄養成分の研究、企業と共同しての商品開発などに取り組むようになった。しかし、「どんなにいい野菜をつくっても、売り方を学ばなければ、その価値を世の中に届けられない」ことを痛感したことで、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」に参加したという。
松岡氏はもともと人前に立つことが苦手だったため、第1回の最終審査会ではとても緊張したという。そんな松岡氏が「高校生ビジネスプラン・グランプリ」に参加した得られたことが3つある。「自分に自信がついたこと」、「社会の仕組みを学ぶことができたこと」、「起業という選択肢が身近になったこと」だ。
「自分に自信がなかったのに、最終審査会で大勢の大人の前でプレゼンテーションをしたことがきっかけで、『私にも、できるじゃないか』という自信になった」と、松岡氏は語った。たった15秒ほどのプレゼン時間だったというが、このわずか15秒が松岡氏を変える大きなきっかけとなったのだ。
また、ビジネスに無縁だった松岡氏だったが、日本政策金融公庫による出張授業を通して社会やビジネスの仕組みを学んだという。「社会がどのように動いているのかについて、高校生の段階で触れることができたのは、とても大きなメリットだった」と、松岡氏は振り返って語った。
そして、もっとも松岡氏にとって大きな気付きとなったのが、「起業という選択肢がぐっと身近になった」ことだ。「第2回大会で、株式会社ユーグレナの出雲社長の講演を拝聴し、価値観が一変した」という。「ビジネスは社会を持続的により良くしていく仕組みだという話で、一気に起業が自分の人生の選択肢として現実味を帯び、高校卒業後の進路にも、大きく影響を与えた」と、松岡氏は語った。
最後に、松岡氏は「経験と、人とのご縁こそが、人生最大の財産である」として、「大会の結果に関わらず、その過程で得た経験は決して消えるものではない。参加した経験と、出会った人との縁を忘れることなく、人生を切り開いていってほしい」と、後輩たちに向けてエールを贈った。