ゲーム、まちおこし、教育に活用が広がる3D都市モデル。第3回PLATEAUライトニングトーク開催
「3D都市モデル PLATEAU LT 03」レポート
この記事は、国土交通省が進める「まちづくりのデジタルトランスフォーメーション」についてのウェブサイト「Project PLATEAU by MLIT」に掲載されている記事の転載です。
国土交通省は10月21日、ライトニングトークイベント「3D都市モデル PLATEAU LT 03」を開催。PLATEAU(プラトー)は、2020年度にスタートした国土交通省のプロジェクト。スマートシティをはじめとしたまちづくりのDX化を進めるため、その基盤となる3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進している。3回目となる本イベントでは、「PLATEAU使ってみた」をテーマに15名が登壇し、3D都市モデル活用のアイデアや体験談を披露した。
現実世界と仮想空間がリンクするゲームでまちおこし!
株式会社CHAOSRUの内藤薫氏は、現実社会とリンクしたデジタルツイン・オープンワールドアクションRPG「TOKYO昭和97年」の企画を紹介した。
PLATEAUを使ったデジタル都市空間を動き回り、クエストをこなしていくゲームで、現実社会の課題に沿ったシナリオになっているのが特徴。制作中のデモでは、移動、マップ表示など基本システムの組み込みと5つのクエストを実装。現実社会とのリンクがコンセプトなので、自治体や企業、クリエーターとコラボして地域課題やPRに使えるシナリオを追加パッケージにして拡充していきたい、とアイデアを語った。近日、ダウンロードして試せるPC版のデモアプリを公開する予定だ。
一般社団法人Finovatorsの藤井達人氏は、実在する世界を仮想空間化したメタバースレーシングによるまちおこしを提案。藤井氏は自宅の8畳間にレーシングゲームの機器を設置しているほどの愛好家だ。最近のレースゲームは実在するさまざまなサーキットがリアルに再現され、現実の道路走行とのギャップや没入感が楽しめる。PLATEAUやOpenStreetMapを組み合わせれば、全国各地の街並みを市街地サーキットとして再現できそうだ。例として、丸の内を中心としたエリアの市街地サーキットを提案した。
仮想空間だからこそ、現実では走行できない場所で非日常的なレースが開催できる。全国の観光名所の周りをサーキット化してレースを開催することで、街の魅力を世界に伝えられるという。またレースの上位入賞者にはNFTを贈呈し、実際に街を訪れた時に特典として活用するなどの案が考えられるとのこと。
AR×VR×PLATEAU-札幌の街の巨大ロボをVRで操縦する
きっポジ氏は、PLATEAUとGoogle ARCore Geospatial APIを使ったAR×VR作品を紹介。きっポジ氏は、札幌駅に怪獣を出現させたり、大丸札幌店の壁面に巨大猫を投影したり、札幌の街を雪景色に変えたりといった札幌を彩るPLATEAUを使ったAR作品を制作している。
これらは一見、普通のARのように見えるが、Google ARCore Geospatial APIを使うことで現実のビルとPLATEAUの建物をぴったりと重ね合わせてAR表示している。PLATEAUの3D都市モデルを透明マスクシェーダーで隠すことで、CGのボールが建物に当たると跳ね返ったり、オブジェクトがビルの向こうに移動すると陰に隠れる、といった現実と融合した表現が可能になる。
さらに、フレームワークとしてPhotonを使用しているためマルチプレイも可能。VR空間でプレイヤーは巨大ロボット同士の対戦を楽しみ、観客はARを通じて現実空間から観戦できる。ARとVRの連動する動画はきっポジ氏のTwitter(@kitposition)で公開されている。