Cybozu Days 2022のプロダクトキーノートはプロダクトの話じゃなかった
星野リゾート、ジョイゾー、神戸市 変化に対応できる組織を実現したDXの勇者たち
2022年11月11日 10時00分更新
kintoneユーザーの壁、ガバナンスの壁をどのように超えたのか?
保守的を思われる公務員がkintoneを使うようになったきっかけを、青野氏が質問すると、森氏と山川氏は「悩んでいる現場に寄り添うこと」「変えていってもいいんだという安心感」「成功事例の積極的な共有」などを挙げた。
たとえば、以前は学校に歯科衛生士を派遣するための日程調整がすべて電話と紙だったが、これをkintone化した事例を庁内ブログで公開したところ、職員の関心をひくことができたという。「決してスマホが得意というわけでもない定年間際の職員が、デジタル官のサポートで使ってくれるようになった。こんなことに使えるんじゃないかとアイデアを出してくれるようになった」と森氏は振り返る。
続いて教育については、民間から来たデジタル担当官のリードに加え、デジタルやITに興味を持つ人材をコミュニティ化した施策が大きかった。アプリのもくもく会も開催し、とにかく手を動かしてもらったという。「200人くらいのチャットルームで、誰でも自由に入れるようにした」とのことで、現場の仕事をなんとかしたいと考えているユーザーには参加してもらっているという。
こうしたユーザーにkintoneのライセンスを渡すと面白がって、アプリを作り始める。手を動かす人が増えると、いろんなアプリを自発的に作るようになるという。一方で、アプリが増えてくるとガバナンスの壁にぶつかる。これに対しては、本格運用の際には、デジタル推進部がアプリをチェックし、専用のスペースに登録する。チェックを通っても、定期的に棚卸しを行なって、利用されていないアプリは停止されることもあるという。
外部パートナーとしては地元の神戸デジタルラボと協調しているとのこと。「なにか提案してくれという上下の関係ではなく、感じる違和感に対して壁打ちできる関係。公務員の弱点も知っている」と全幅の信頼を寄せている。デジタル戦略部と所感部門の関係についても同じ。「インフラを入れるのはわれわれの仕事だけど、それを使ってどのように仕事を変えるのかは、所管部門の仕事。だから、われわれと所管部門もお互い壁打ちするパートナー関係」と森氏は指摘する。今後は1500人にまで増えたユーザーをさらに拡大し、全庁に拡げていくのが目標だという。
最後、青野氏はプロモーション、ユーザー事例、サイボウズのアップデートを披露。また、クラウド事業に関しては、「信頼性」「使いやすさ」「エコシステム」を重視し、クラウド基盤の移行やガバナンスガイドラインの公開、ノーコード推進協会やユーザーコミュニティなどの活動を紹介した。セッションやブースの紹介を終えた青野氏は、「みなさんお気を付けて宝探しに出かけてください!」とまとめた。