「Ivanti Solution Summit 2022」開催、Ivanti Neuronsによるデジタル体験改善のデモシナリオも
Ivanti、「従業員のデジタル体験」向上の重要性とソリューション戦略を語る
2022年11月11日 07時00分更新
北川氏は、Ivantiプラットフォームによる「新しいユーザー体験」のデモシナリオとして、病院におけるパスワードロック解除の自動サポート事例を紹介した。現場看護師のモバイルデバイスが病院システムにログインできなくなったが、患者のケアが忙しく、サポート要請のチケット発行のためにナースステーションに戻っている余裕はない。通常ならばここで業務が滞ってしまうはずだ。
「ここでIvantiプラットフォームがあれば、ユーザーのログインに何か問題が発生していることを検知し、まず『何かログインで問題が発生していますか?』といったプッシュ通知をデバイスに送る。『問題がある』と答えると、今度はパスワードロックを解除する方法を選ぶよう通知する。電話(SMS)、Eメール、生体認証という3つの方法が表示され、ユーザーが選択すると、ロック解除の処理が自動で進み、一時パスワードが発行される」(北川氏)
この一連のフローの裏側では、検出/管理/セキュア/サービスというIvantiが提供するサービスが連携して動いている。ログインに問題が発生していることをIvantiプラットフォームのAIが自動で検知し、プロアクティブに問題解決策を提示する。チケットが自動発行され、管理者による承認とデバイスの自動セキュリティチェックを経て、短時間で問題が解決する。従業員のデジタル体験が大きく改善されるわけだ。
「もちろん、ここでは『なりすまし(不正ログイン)』のケースも考えられる。先述した処理は条件分岐できるので、ノートPCからのログインに失敗している、けれどもユーザーが『自分ではない』と答えた場合は、PCの盗難や紛失を疑って『ノートPCはお手元にありますか』『リモートワイプを実行しますか』と尋ね、処理を行う――。そういったことも可能だ」(北川氏)
ソリューションの自社導入で「DevSecOps」などの目的にも活用
北川氏はもうひとつ、Ivanti社内における自社ソリューションの導入事例についても触れた。近年の相次いだ買収によって現在のIvantiは従業員数およそ3200名、顧客企業数4万6000社を抱える企業規模になっている。社内で自社ソリューションを実際に使用し、“最初の顧客”として積極的に改善要求のフィードバックを行うことで、ソリューションの品質を改善していく取り組みだ。
自社導入においては3つのゴールを設定しているという。1つめは、これまでオンプレミス導入されてきたIvantiソリューションをクラウドに移行していく際に生じる課題の洗い出し。2つめは、製品ポートフォリオを拡大していく中での製品どうしの統合の確認。そして3つめは、自社内でしっかり製品を検証し改善していることを顧客やパートナーに伝えることだ。
「COVIDのピーク時においても、われわれは3000台の従業員PCをリモートでプロビジョニングし、同時に2000台のPCをデコミッション(廃棄処理)した。またサービスリクエスト件数も大きく増えたが、ITチームが人手を増やさず件数をさばくために自動化を促進し、手作業による対応をおよそ6割削減することができた。システムのMTTR(平均復旧時間)が、これまでの2.5日から1日に短縮できたという数字もある」(北川氏)
こうしたアセット管理だけでなく、Ivantiではセキュリティ、イベント管理、DevSecOpsの目的でも自社ソリューションを活用しているという。北川氏は、それぞれの目的に対応するソリューションの組み合わせに触れながら、「今だけでなく、今後を見据えたソリューション導入を進めている」と紹介した。
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マスターズ氏、北川氏は、それぞれIvantiの目指すビジョンと強みを語ってセッションを締めくくった。
「ガートナーのマジッククアドラントにおいても、Ivantiのビジョンと戦略、現実の市場における実行力は高く評価されている。今後も従業員のデジタル体験を改善するために、テクノロジーだけでなくユーザーをもきちんとケアして、ITプロフェッショナルに対しても充実したユーザー体験を提供し、カスタマーとエンドユーザーを維持していく」(マスターズ氏)
「Ivantiの掲げる『Everywhere Workplace』ビジョンは、ロケーション(働く場所)だけを指す話ではない。もう少し深く掘り下げて『働き方そのもの』をどんどん変えていく、そのためにオートメーションなどのテクノロジーを活用していくというものだ」(北川氏)
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