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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第11回

メタバース的な未来を感じる「Wooorld」が面白い

2022年11月10日 16時00分更新

文● 新清士 編集● ASCII

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ハンガリーの「ソーシャル観光」ができた

 プレイして新しい体験だなと感じたのは、たまたま部屋が一緒になったハンガリーの方と会ったときのことでした。

 お互いにプレイを始めたのはその日が初めてだったのですが、たまたま2人だけという状況になったので、話す必要が生まれました。軽い挨拶をして、ハンガリーからアクセスしている方だということがわかった後、彼は私の住んでいる家を見てみたいと言い出しました。

 そこで私は地図を動かして、住んでいる場所の近くを表示してみせました。彼はタイで暮らしたことがあるが、日本で暮らしたことはないとのことで、日本の風景は目新しく感じられたようです。コンビニが並び、公共交通機関が発達している姿はハンガリーにはなく、町並みがまったく違っていたためです。

 次は、彼の番でした。彼はハンガリーの首都のブタペストから来るまで数時間の田園地帯が広がる古い街に住んでいると言い、その街で有名な古城を案内してくれました。「ここはトルコとの戦争で有名な古いお城なんです」といった歴史を教えてくれました。そのあたりは日本と違って地震がないこともあり、古い石造りの家が整然と並んでいました。

連れて行ってもらったハンガリーのエゲル市の古城から街を眺めている様子

 ハンガリーの街並みを見た後、東京のゴタゴタした自分の家の周りを見ると、やっぱり全然違うなあと感じました。私はハンガリーに行ったことはありませんが、バーチャル空間でそうしたソーシャル観光的な新しい体験ができることはかなり新鮮で、なるほどこれは面白いなと感じました。

 もうひとつWooorldが面白いのは、メタが公開しているアバターのAPIが使えることです。

 このアプリを使っているあいだは、自分の姿も相手の姿もメタのアバターで表示されることになります。日本ではまだメタのメタバースサービス「Horizon World」が開始していないこともあり、なかなかメタアバターの姿を見ることはまれという状態です。しかしメタは積極的に他社に対して、メタアバターの採用を働きかけているんですね。

 Wooorldの中では、メタアバターは下半身のないモードとして登場しますが、不自然さは感じません。アプリの中で見る分には、意外と気にならない点です。

フェイシャルトラッキングを使って自分を撮影している様子。行ったことがない場所のバーチャル観光記念が作れてしまうかも

 また、Quest Proでこのアプリを使用した場合、フェイシャルトラッキングやアイトラッキングも対応しているので、表情や目の動きも反映されます。どのハードを使っているのかが明示的に表示されることはありませんが、他のユーザーを見て表情の動きなどを見ていると、Quest 2か、Quest Proなのかを区別することができます。

 Wooorldは「メタバース」とまではいかないかもしれませんが、メタのアバターでコミュニケーションがとれる点で考えると新しい体験でした。メタのアバターは評判としてはやや微妙ですが、こうしたソーシャル体験を前提としたコミュニケーションアプリで十分に使えることは、アバターの方向性としてアリだなと感じました。

 メタやグーグルのAPIを使っていくことで、極端に多くの開発リソースを使わなくてもメタバースのようなものをつくれるという提案としても、アイデアとして非常に優れているなと思いました。こうしたアプリもまた、ひとつの未来の提示だなと感じています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。「バーチャルマーケット(Vket)」で知られる株式会社HIKKY所属。デジタルハリウッド大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRゲーム開発会社のよむネコ(現Thirdverse)を設立。VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。著書に8月に出た『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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