ワインに関する調査
富良野市は、これまでにも日本オラクルや北海道大学と連携した取り組みを行ってきた経緯がある。
2020年度は、除排雪車両にGPS付スマホを搭載し、日本オラクルのクラウドサービスを使用して、データ分析を行うIoT除排雪効率化実証実験を行ったほか、2021年度には、北海道大学、日本オラクルとの連携により、「北海道大学博士課程DX教育プログラム:北海道富良野市のスマートシティ推進支援」プロジェクトを実施。富良野市から提示された課題に対して、オラクルのクラウドサービスを活用し、北海道大学の博士課程の学生が、データ分析や可視化を通じて、施策の提案を行い、これを受けて富良野市では施策案を参考にした実証実験の検討を行った。
ここでは、北海道大学の理学院、工学院、総合化学院、情報科学院といった異なる専攻の学生が4人ずつ2チームに分かれて、ふらのワインの販売促進に向けたデータ分析や施策提案を行ったほか、ごみの分別によるリサイクル率90%の実現およびカーボンニュートラルの実現に向けた提案も行ったという。
ふらのワインの販売促進の提案では、ブドウの木の老化による収穫量の減少、コロナ禍での観光客への直売ビジネスモデルの不振といった課題がある一方、苗木の成長により、今後はブドウの収穫量が増加し、販売量の増加が求められる状況に着目。販売拡大に向けて、オンラインショップの販売データを、機械学習によって分析し、販売戦略を立案したという。
コロナ前の2017年11月~2019年12月までのデータを活用し、一度だけの購入者、リピーター、22本以上の大量購入者に分類して分析したところ、リピーターは360mL瓶を購入したり、様々なワインを購入したりする傾向があることを突き止め、そこから「いろいろ飲みたいと思った人が、リピートした可能性がある」との仮説を立て、オンラインショップでの様々な種類の試飲セットの販売を提案したという。
富良野市の北市長は、「様々な容器での試飲セットの販売は、衛生面、費用面などの課題があるが、これらの提案は、今後の販売活動に有益なものと考えており、試験的な実施を含めて検討している。また、オンラインショップを利用してもらうために、ウェブページの改修の提案を受けており、2023年度にはリニューアルする予定だ。さらにSNSによる発信も積極化し、同時に利用者のデータも収集していく」と述べた。
また、「データ収集の重要性について、学生から教示を受けた。2022年9月に開催した『ふらのワインぶどう祭り』では、イベント会場やワイン工場、フラノマルシェ、富良野駅にビーコンを設置し、来場者の居住地や回遊ルート、滞在時間などのデータを取得し、分析をしている」という。
一方、ごみの分別によるリサイクル率90%の実現に向けた取り組みでは、警告シールの低減や、LINEアプリを用いた情報提供を提案。「警告シールを画像で蓄積する提案は、収集作業員の分別判断基準の精度向上が見込めるといった効果が期待できる」などとした。
北市長は、「産官学の連携はこれまでにもあったが、成果を形に残せるものが少なかった。大学院生からの提案を形に落としていくことで、より充実した取り組みにつなげたり、高度化したりすることを目標にしている。地域にいるだけでは気がつかないところに着眼点がある。北海道大学の知見、日本オラクルの技術に、富良野市の行動を加えることで、ひとつのモノを作り上げることに期待している」とした。
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