約1年半遅れで発売された
監視装置向けプロセッサー「GAP 8」
さてそのGreenewaves、ターゲットとするのはエンドポイントIoTである。下の画像が最初の製品であるGAP8のアプリケーション例である。
画像だったり騒音、振動と言ったセンサーで起動し、異常が発生したと検知したらそれをホスト側のプロセッサーに送って通知を送るといったアプリケーションである。こうした用途なので低コスト、低消費電力が求められるのは当然である(ここにあるように100年の電池寿命が必要とはさすがに思わないが)。
上の画像は2016年のものだが、この時点でGAP8の基本的な部分はFPGAでほぼ実装が完了しており、これをベースに2016年末にテープアウト、2017年6月頃には量産が始まる、というわりと前向きな予定だった。
もっともこれは楽天的過ぎたようで、最初の量産シリコンがリリースされたのは2018年2月、HDK(Hardware Development Kit)が出荷されたのは2018年5月、量産シリコンの品質検証が終わったのは2019年第4四半期とされるため、当初の予定から1年以上遅れた形になるが、少ないエンジニアで量産まで漕ぎつけるのは大変なことを考えると、これはそれほど大きな問題ではないと思う。
すでに同社のオンラインストアでGAP8プロセッサーや開発キット類は購入可能である。
ターゲットアプリケーションとして示されたのは下の画像で、Greenwavesが言うようにもうエンドポイントIoT向けの用途である。これを実現するのに問題になるのは、消費電力というのが同社の見解だ。
要するにMCUベースで推論を実行すると、その消費電力がすさまじいことになり、どうしてもバッテリー寿命が短くならざるを得ない。
先に結論を書くと、ここでGAP8を併用することで大幅に消費電力を短縮できる、というのがGreenwavesの提案である。STM32 F7、つまりCortex-M7を216MHzでブン回すケースと比較すると、性能が同じで良ければ75倍もの消費電力削減になるし、消費電力が同等なら11倍高速化できるとしている。
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