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少額からスポーツチームのスポンサーに 企業とつなぐ「Sponsors」

2022年11月04日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集●ASCII STARTUP 撮影●永山亘

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 2022年10月6日、企業とチームをつなぐマッチングサービス「Sponsors」がスタートした。スポーツチームのスポンサーになるには多額の費用が必要だが、本サービスでは少額からスポンサードできるのが大きな特徴。今回は、スポンサーになりたい中小企業と、スポンサーを探すチームとの懸け橋になるとして期待される同サービスを紹介する。

従来よりも低価格でスポーツチームの支援が可能

 Sponsorsは、通信事業などを行っている「Core-Business株式会社」が運営するサービス。冒頭でも述べたように、スポンサーになりたい企業と、スポンサーを求めるスポーツチームとをつなげるマッチングプラットフォームだ。

 スポーツチーム側は、Sponsorsのホームぺージから登録申請を行うことで、ホームページ上に「スポンサー募集チーム」として登録される。その際、支援プランやスポンサーへの特典なども設定することになるが、Sponsorsの専任担当者がサポートしてくれるのだ。プランページが作成できたら公開してスポンサーを待つことになる。

 一方、スポンサーになりたい企業は、まずSponsorsのサイトからアカウント登録を行う。スポンサー登録ができるのは、企業や個人事業主で、現在は個人の登録はできない。申請を行い、審査を通過すれば登録は完了。後はSponsorsに登録している中から、スポンサードしたいチームとプラン(スポンサー金額)を選択。その後、スポーツチームとスポンサーの間でスポンサー契約が締結されたら、チームは支援金を受け取ることができる、という仕組みだ。

チームと企業両方にメリットがあるサービス

 スポーツチームにとって、スポンサー企業はチームを運営するに当たってなくてはならない大事な存在だ。しかし、スポンサーになるには大きな金額が必要なケースが多く、資金に余裕のない企業は、応援したくても難しい場合がある。また、「スポンサー費用は高い」というイメージがあることから、最初からスポンサーになる選択を除外している企業も少なくない。

 スポーツチーム側は、新型コロナの影響で苦しい状況に陥っており、有名なビッグチームでさえスポンサー獲得に苦心。規模の小さなスポーツチームはさらに厳しい状況だ。しかし、Sponsorsを利用することにより、スポーツチームは全国規模でスポンサーを求めることができ、企業も少額でスポンサーになれるスポーツチームを探せる。これまで交わらなかったチームと企業を結び付けることが可能になる、というわけだ。

 特にSponsorsにマッチするのは、これからの成長が期待されるスポーツのチーム、地域リーグなど規模の小さなチームだ。ビッグクラブと比べると規模や認知度が低いこともあり、多くのチームがスポンサー獲得に苦心している。しかし、少額でスポンサーになれると聞けば、「地元のチームだから」と出資してくれる企業も出てくるだろう。

日本のスポーツ界を盛り上げる一助になる

 2022年10月6日に行われたSponsorsの記者発表会では、元サッカー日本代表の中澤佑二氏が登壇。現役自体の経験を踏まえ、海外と日本のスポーツに対する向き合い方の差を聞かれた際は、「日本の安心して応援ができる環境は世界に誇れるもの。海外から来た選手も驚くほどだが、もう少し情熱を持ってチームや選手を応援できるようになると、選手たちもよりいいプレーができるようになる」と指摘。

 その上で、本サービスの可能性や期待することを聞かれ、「正直、スポンサーになるのは難しいと敬遠している企業も多い。しかし、Sponsorsが広く知られるようになることで、スポンサーになる企業も増え、アスリートの環境も良くなるはず。その競技の認知度や(将来の)安定性が高まれば、そのスポーツをしたい子供も増えるはず。新しいチャレンジのきっかけにもなる素晴らしいサービスだと思う」と語った。

 また、中澤氏は大学でラクロスの指導を担当していることもあり、「マイナースポーツへの貢献」という点でもSponsorsに期待しているという。特に大学スポーツは、マイナーな競技だと遠征費などを自分たちが負担するケースも多い。一方、社会人スポーツでも、働きながらプレーする選手も多く、スポーツだけに集中できない環境だ。Sponsorsによって企業が手軽にサポートできるようになれば、選手たちはスポーツに集中できるようになり、成績の向上、競技人口の増加につながる可能性もあるだろう。メジャー・マイナー、社会人、大学生など、幅広く日本のスポーツ界全体を盛り上げるきっかけになる可能性を秘めているといえる。

10月6日のローンチ時点では、
・横浜ビー・コルセアーズ
・湘南ベルマーレフットサルクラブ
・パラ神奈川SC
・八王子ビートレインズ
・日本デフバスケットボール協会
・香川ファイブアローズ
の6チーム(団体)が登録しているが、今後さらなる登録チームの増加を目指している。

 また、現在はスポーツチームのみだが、将来的にはアスリート個人への支援や、大学スポーツ、eスポーツへの協賛も検討しているとのこと。スポンサー獲得はチームの規模の大小関係なく課題であるだけに、少額からスポンサーになれるSponsorsは大きな注目を集めている。果たしてこれからどのような展開を見せてくれるのか期待したい。

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