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MPandCとSportipが開発、AI解析でユーザーの体を「見える化」するパフォーマンスAI (アイ)

2023年01月25日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP

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 2022年11月1日、セガサミーグループのスポーツビジネス総合マネジメント会社「株式会社MPandC」が展開するスポーツジム「パフォーマンスAI(アイ)」がイオンモール幕張新都心にオープンした。同ジムでは、筑波大発ベンチャーである株式会社Sportipが独自開発したAI解析アプリを活用した指導が受けられるのが特徴だ。本記事では、AI解析アプリや、同アプリを用いたスポーツジムの利点を紹介する。

どのジムでも質の高いトレーニングが提供できる

「パフォーマンスAI(アイ)」は、「AI動作解析アプリ」と「パーソナルトレーニング」を掛け合わせたスポーツジム。本サービスのポイントとなるのが独自開発のAI動作解析アプリだ。

 同アプリは、筑波大発ベンチャーである「Sportip」と、多くのプロスポーツ選手の指導を行ってきたプロトレーナーの山本晃永が代表を務める「ワイズ・スポーツ&エンターテイメント」と共同で開発したもの。500万件以上の運動データなどを基にした動作解析機能が備わっており、ユーザーの体の状態やくせを的確に評価する。「パフォーマンスAI」では、正確な解析データを基に、ワイズ・スポーツ&エンターテイメントの山本代表の知見を基にしたトレーニングを受けたスタッフが、効果的な指導を行うという仕組みだ。

 こうした体の動きやくせ、問題点を見抜くには、感覚に頼る部分が多く、高度な知識や経験が必要。いわゆる「職人の世界」だった。そのため、経験豊富なスタッフがいるジムと、そうでないジムとでは、提供するトレーニングの質や成果に差が生じてしまう。しかし、アプリで的確にユーザーの体の状態を解析できれば、そこにマッチしたトレーニングも提供しやすくなり、常に高い質のトレーニングが提供できる。

「見える化」がモチベーション維持にもつながる

 MPandCの森下尚紀代表は「アプリによる『見える化』にはもうひとつのメリットがある」という。それがモチベーションへの影響だ。トレーニングを続ける上で最も大事なのは「成果(結果)が出ること」だが、単にトレーニングをしているだけでは体の変化が分かりづらい。しかし、アプリで体の状態を見える化することで、どこがどう変化したのかがより分かりやすくなる。筋力がついて体幹のブレが改善した、姿勢が改善されたなど、たとえ小さな成果でも、トレーニングの効果が実感できるとモチベーションも高まる。

 森下代表によると「昨今、ICTの活用によってスタッフを必要としない無人システムや、遠隔指導を受けるジムも増えてきたが、やはりスタッフが直接コミュニケーションを取り、指導する形はモチベーションも維持できる。そこにアプリによる『見える化』が加わることで、小さな変化を楽しみながらトレーニングが続けられる」とのこと。

 また、スタッフも山本代表のトレーニングを受け、アプリを活用することで効果的な指導ができる。これは運営側にとって大きなメリットだ。本来は経験豊富なスタッフでないと難しかった指導が経験の浅いスタッフでも可能になれば、人材不足に悩まされることはないだろう。

デイサービスでの活用も期待できる「パフォーマンスAI」

 2022年11月1日にイオンモール幕張新都心で「パフォーマンスAI」がオープン。パーソナルトレーニングセッションの基本的な流れは以下のとおりだ。

1 カウンセリング
2 AI動作評価
3 評価のフィードバックと目標達成に向けた課題提起
4 課題解消・目標達成に向けたトレーニングメニュー作成
5 パーソナルトレーニング・トレーニング実施
6 トレーニング成果のAI評価(評価のビフォー/アフター比較など)
7 6の評価を基にトレーニングの継続または変更・追加
8 一連のプロセスを繰り返し、目標達成を目指す

 トレーニングマシンにおいても、独自開発の油圧式トレーニング機器が用いられる。一般的な「おもり」を用いるタイプと比べ、押す・引くの両方でより効率的に負荷を加えることができるのが特徴だ。また、このマシンも見える化の特徴を持っている。トレーニング目的(筋肥大、最大筋力、スピード)に合わせ、正しいスピードでトレーニングできているか、専用モニターを使って見える化され、従来のマシンに比べて、より効果的な成果を目指せる。トップアスリートだけでなく、力の弱い人でもトレーニングしやすい。子どもや高齢者でも安心してトレーニングできるのだ。

 今後の展望についてMPandCの森下代表は「まだ先の話ではあるが、高齢の方でも安心して楽しめるトレーニングなので、デイサービスでの活用も期待できる。とはいえ、実店舗での運用がまだスタートしたばかりなので、まずはパフォーマンスAIを多くの人に利用してもらいたい」とのこと。

 パフォーマンスAIは独自開発のAIを用いた解析アプリを用いた、トレーナーの経験に左右されない効果的な指導ができる。人材不足という課題解決という意味でも非常に注目度の高い取り組みだといえる。

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