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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第690回

Raptor Lakeの開発を半年短縮できたのはイスラエルチームのおかげ? インテルCPUロードマップ

2022年10月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Z790とZ690チップセットの違いは?
今後はThunderbolt 4を搭載しないマザーが出てくる?

 最後はチップセットについてだ。Raptor Lakeにあわせてインテル700シリーズチップセットが投入される。まず商品化されたのはZ790であるが、おそらくはこの後普及帯向けのチップセットも投入されることになるだろう。

プラットフォームの詳細。ただDDR5-5600のサポートなどはZ790というよりはCPUのサポート範囲であり、あまりチップセットとは関係ない気もする

 ただ気になるのは、Z790とZ690の違いである。これはインテルの担当者に確認したところ、以下の返事が返ってきた。

  • USBポート数の増加。ここにはUSB 3.2 Gen 2x2の追加サポートも含まれる
  • PCHからのPCIe Gen4レーンが最大20になり、これは600シリーズより8レーン増えている。またPCIe Gen3を8レーンサポート
  • Discrete Thunderbolt 4コントローラーをサポート

 ただIntel Arkで詳細にスペックを確認すると、下記が正確らしい。

  • USBポートの合計そのものは14で変わらず。ただしZ690はUSB 3.2 Gen 2x2が最大4ポート、USB 3.2 Gen 2x1が最大10ポート、USB 3.2 Gen 1x1が最大10ポート、USB 2.0が最大10ポートなのに対し、Z790はUSB 3.2 Gen 2x2が最大5ポート、USB 3.2 Gen 1x1が最大10ポート、USB 2.0が最大10ポートとなっている。要するにUSB 3.2 Gen 2x2として使えるポートが1つ増えた。
  • PCIeのレーン数は28のままで変わらず。ただしZ690ではPCIe 4.0は最大20レーンで、残りはPCIe 3.0だった。Z790ではPCIe 4.0でも最大28レーンまで可能になった。ただしうち8レーンはPCIe 3.0としても利用可能。

 あと説明されなかった違いとしてIntel Optane Memoryのサポートがなくなった、というのがあるが、これはOptane Memoryそのものがなくなったのが理由であろう。

 聞いたところZ790マザーボードは(とりあえず当初リリースされるものは)すべてThunderbolt 4コントローラーが実装されることになっているそうだ。実際(KTU氏も評価に使った)ASUSのROG Maximus Z790 HeroのバックパネルにはThunderbolt 4が2ポート用意されているのがわかる。

筆者宅にも評価用にROG Maximus Z790 Heroが来ていた

 ただ、そんなオンボードでわざわざディスクリートThunderbolt 4のコントローラーを搭載するくらいなら、いっそチップセットにThunderbolt 4のコントローラーを統合してしまえばいいのでは? と思ったのだが、(これも連載688回で名前がでた)Dan Rogers氏(Senior Director, Mobile Product Marketing)に確認したところ「それをやると(チップセットの)価格が上がるので、ディスクリートのままの方が良いと顧客(=マザーボードメーカー)が主張するのでこうなった」という返事だった。

 ということはつまり、Z790マザーボードにThunderbolt 4を搭載するのは最初だけで、そのうち廉価版の(Thunderbolt 4コントローラーを搭載しない)Z790マザーボードが出てくる(でなければ、ディスクリートにしても価格が下がらない)ものと思われる。

 ちなみに筆者宅の環境で言えば、Core i9-13900KはASUSのPrime Z690-Aで問題なく稼働した。X670Eほどではないにしても、無理に高価で消費電力の大きめなZ790マザーボードを選ばなくても良いように思われる。

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