業務を変えるkintoneユーザー事例 第163回
青天井化していた発注額を適正化し、年間9000万円の経費削減を実現!
kintoneで笑顔あふれる会社に生まれ変わった日本エンジニアリング
2022年10月26日 10時30分更新
そこで能重氏を運用ベースでポータル画面を設計することにした。業務ごとにアプリを分解して、必要最低限の入力で済むようにしたのだ。さらに、各担当役割に必要な部分のプロセスを縦軸に配置して、視認性を高めている。プロセスのボタンをクリックすれば、それぞれのアプリに飛ぶので、自然と使えるようになっていったという。
「このポータル画面を導入してから2ヵ月程度で、弊社の職員全体がkintoneを使えるようになりました」(能重氏)
kintoneが使えるようになったことで、「個人KYシート申請」アプリの活用も進んだ。工事現場では危険予知活動を記録するKYシートを必ず作成しなければならず、こちらはみんな提出しているそう。しかし、作業報告の提出率が悪いという課題があった。作業報告も元から提出義務はあるのだが、KYシートと重複した内容があり、二重入力するのが面倒だったのだ。
そこで、習慣化できているKYシートを撮影し、作業報告に添付することにした。これならば、二重入力しなくてもいい。また、4月から建設業界でもアルコールチェックが義務化されたが、こちらもアルコールチェッカーの写真を添付できるようにして対応した。
「kintoneは汎用性がかなり高いので、すぐに法令にも対応できます。運用のキーポイントとして重要なことは、今あることを置き換えるのではなくて、今ある慣習や習慣に載せていくことです」(能重氏)
kintoneの運用が本格化したら社内に笑顔が増えた
kintoneの運用が本格化すると、社内の空気が変わったそう。以前は、ITを使うとなるとみんな暗い顔になってしまっていたのだが、現在では自然と業務が流れるようになり、会話も増えたという。一人一人が疑問点を可視化できるようになり、社内に笑顔が増えたのだ。
kintoneの導入が成功した鍵は現場への浸透で、そのために大事にしているのが、「エビングハウスの忘却曲線」とのこと。人は一度覚えたことでも、時間が経過すると忘れていくもの。しかし、一定期間内に反復することで記憶が強く残るようになるというメカニズムをグラフ化したのが「エビングハウスの忘却曲線」だ。
「とにかく反復してkintoneを使ってもらうということです。導入の障壁はたくさんありますが、1番簡単なもの、身近にあるものをまずは使ってもらうことで、その後の運用が大きく変わってきます」(能重氏)
もう一つ重要なのが、ベンダーとの関係性だという。発注側の意思と構築する人間の意思が、すれ違うことがあるが、ここを合わせないといいシステムはできない。
また、kintoneの担当者を1人置いて、情報を一元化する必要もある。あの人はこう言ってたのに、この人はこう言っていた、ということが実際に起きていたという。そして、kintoneの担当者が育つと、社内への浸透率も上がり、結果としてみんながkintoneを使えるようになる。これが日本エンジニアリングにおけるDXの第一歩になったそう。
導入効果はとても大きかった。工事納品期間は30%短縮、残業時間は50%減、販売管理費は5%減、製造原価比は5%減、売上は20%アップ、自己生産比率も10%アップ。
金額に直すと、販管費が年間4000万円削減、製造原価も4000万円削減。残業時間に至っては、年間5500時間を削減し、約1000万円の節約につながったのだ。
「私たちが今大切にしているのは、気持ちのずれをなくすことです。僕たちは色々なハードルがありましたが、kintoneの導入を通じて、本当に心がひとつになりました。私自身がみんなとどういうふうに会話をするかが重要だったと思います。本当に、妻とケンカばかりだった毎日が、愛情溢れる、笑顔溢れる毎日になりました」とは締めた。

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