カメラ+フィットネスアプリが人気に
遠くに住む家族ともテレビでビデオチャットが一般的
もう一つ最近のテレビトレンドはフィットネス機能の塔載だ。リングフィットアドベンチャーが中国で多数転売されたことは記憶している読者もいるだろう。コロナの影響で、自宅でのフィットネスニーズが高まり、リングフィットアドベンチャーが人気になったほか、鏡とディスプレーが一体化したフィットネス用スマートミラーが続々とメーカーから登場し、アプリでは中国産フィットネスアプリ「KEEP」が人気になった。
この流れにテレビも乗ろうと、ファーウェイが2019年に、シャオミ、ハイセンス、スカイワース、KONKAなどのテレビメーカーも上位機種にカメラとAIフィットネス機能を搭載した。KEEPもスマートテレビ向けアプリをリリース。ソニーやLGなどが中国向けスマートテレビで搭載するカスタムROM「当貝OS(杭州当貝網絡科技)」の中にもフィットネスサービス「当貝健身」が入っていて利用可能だ。
ファーウェイは負けじと3人まで同時に動作を認識するAIを搭載したフィットネスサービスをリリースしてセールスポイントに。TCLの回転可能なスマートテレビ「XESS」シリーズでは画面を縦にして、そうしたアプリを利用できる。
スマートミラーと同じかそれ以上のことがスマートテレビでできるとなれば、スマートミラーではなくより多機能で汎用的に使えるスマートテレビを選んで買う人は当然主流になり、一時期ブームになったスマートミラーが1年足らずで中古市場に大量に流れている。
カメラ搭載テレビではビデオチャットも可能で、離れた親族と会話するのにも向いている。「居間で大画面で親族と話をするのか?」と思うかもしれないが、身内を大切にする中国人には自然な行動だ。
ゲームにフィットネス、ビデオチャットに加え、目をいたわる機能で買い替えを促す。スマートフォンをリモコンにでき、シャオミやファーウェイは同社ブランドのIoT製品との連携もできる(「ファーウェイもスマートディスプレーを中心にした囲い込みを自国で進める」)。日本のようにパネルの進化で「より綺麗に」とアピールするだけでなく、「より多機能に」という面でも消費者に買い替えを促し、スマートテレビはパソコンとスマートフォンに続く第3の情報端末になっている。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「移民時代の異国飯」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)
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