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クリプトンの新型スピーカー「KX-3SX」を体験して感じた同社の良心

2022年09月13日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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 高品位のアクセサリーとスピーカーを提供し続けるクリプトン(KRIPTON)は、春と秋に新商品をリリースしている。今秋はスピーカーのほか、フラグシップとなる電源ボックス、スピーカーケーブル、オーディオボードの4製品を10月から順次市場に投入する予定だ。発売を控え、短い時間ではあるものの視聴する機会をいただいたので、音質もあわせて商品概要を紹介する。

【KX-3SX】熟成を重ねたスピーカーならではの高い完成度

クリプトン/「KX-3SX」(43万7800円・ペア)

 この秋注目の製品がKX-3シリーズの6代目「KX-3SX」(43万7800円・ペア)。クリプトンのスピーカーは、渡邉 勝氏の一貫した思想で開発されることが最大の特徴だ。渡辺氏は、コーラル(福洋音響)からキャリアをスタートさせ、ビクター時代には大ヒット銘機「SX-3」(1972年)の開発に深く関わった人物で、スピーカー作りに「クルトミューラー製コーン紙、密閉型構造、アルニコマグネット」を「3つのコアテクノロジー」として貫いている。

3.5cmピュアシルク・リングダイヤフラムツイーター

17cmウーファー

背面も突板仕上げであるため、突板を貼った板でエンクロージャーを組むのではなく、先に箱を組み立ててから突板を貼らなければならない。つまり作業が大変ということ

 前作KX-3Spirit同様、17cmウーファーに3.5cmピュアシルク・リングダイヤフラムツイーターによる2ウェイ・密閉型というパッケージに変わりはない。だがエンクロージャーの6面を「新開発ワンダーローズつき板」仕上げとし、ポリエステル(ピアノ塗装)の3回塗りとすることで、豊かな中低域を実現したとのこと。

内部に使われている配線材(中央と下)

 3.5kHzでクロスするネットワーク回路に変更はないものの、内部配線材を独・インアクースティック(旧モニターPC)製から同社が単品販売しているスピーカーケーブルに変更。低域はSC-HR1200(1mあたり1万3200円)、低域はSC-HR1300(1mあたり9900円)と、帯域にあわせて使用するスピーカーケーブルを変えている。

スピーカーターミナル部。極太のジャンパー線が付属する

 スピーカーターミナルはバイワイヤリング接続に対応。スピーカーケーブルに前出モデル、またはSC-HR1200とSC-HR1300をひとつにまとめたバイワイヤリング対応ケーブルSC-HR2000を用いれば、アンプからユニット直前まで同じ導体で伝送可能だ。

筆者の試聴風景

試聴機材

 KX-3SXの試聴は、アキュフェーズのセパレートアンプに、ネットワークプレーヤーの組み合わせで実施した。滋味にあふれるKX-3シリーズの美質はそのままに、従来モデルと比べ薄皮一枚分のベールが剥がれるとともに、開放的な鳴り方へと変化したと聴いた。技術志向のスピーカーにありがちな求道的な音ではなく、素直に音を楽しめるという印象。素材の味をそのままいただく日本料理に通じるものがあり、ゆえに料理人の技量が問われるのだけれど、そこは鉄人・渡邉氏が見事な腕前を披露されていると聴いた。

KX-3シリーズの歴史

 KX−3が登場して17年。熟成に熟成を重ねたスピーカーならではの完成度の高さ、スキのなさに感心させられた。

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