自宅のパソコン用に「Nuforce Icon」というアンプを使っている。新書判程度のコンパクトなサイズだが、2系統のアナログ入力のほかにUSB DACも搭載している。2008年の発売直後(国内)に入手したもので、専用に開発された「Nuforce S-1」というスピーカーを、その後買い足した。このセットとはかれこれ3年の付き合いだ。

以前「テレビと一緒に使いたいスピーカー」として紹介したKS-1HQMだが、その実力に日々興味が高まっている
Illustrated by Hinata Kino
ハイレゾ化するUSBオーディオ
「PCオーディオ」という言葉が市民権を得つつあるように、最近ではパソコンとの連携を前提に開発された音響機器が増えている。USBオーディオデバイスの歴史は古いが、いかにも周辺機器然としたものではなく、オーディオとしての音質を追求した製品が数多くリリースされるようになったのがここ数年の大きな流れだ。
まだ「一部のマニア」だけのものだが、CDを上回る高音質な音楽配信サービスなども登場しており、ノウハウや機器の情報に関して活発な議論が交わされている状況もある。
筆者の手元にある初代Iconは44.1kHz/16bit(USB 1.1)というCDクオリティーでの入力のみに対応しているので、スペック面では少々古さを感じさせる。最近ではUSBでも96kHz/24bitに対応するのが普通だし、Iconシリーズそのものも最近モデルチェンジして、96kHz/24bit(USB 2.0)に対応した「Nuforce Icon2」など新モデルが登場している。
そんな折、関心のある機種が1台浮上した。以前サイトでも取り上げたクリプトンの「KS-1HQM」という機種だ(関連記事)。ちょっと不思議なネーミングだが、KSはクリプトンのスピーカー、HQMは高音質音源(High Quality Music)の略だと想像する。その名の通り、「高音質配信音源」(ハイレゾ音源)の潜在能力を存分に発揮できる、高い再現力を持った製品と言えるだろう。
Iconの音質を気に入っていた筆者だが、USB入力による音質にはあまり満足していなかった。その真価はアナログ入力にあって、音質面で圧倒的な差があるように感じていたからだ。ただ音源のハイレゾ化という流れの中で、PCオーディオ用のアンプやスピーカーがどのような進化を遂げつつあるのかには興味がある。
3年ほど使ってきた音楽再生環境には、それなりに愛着があるが、そろそろそれを見直してもいい時期ではないか。そんな風に思い始めていたのである。
