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業界人の《ことば》から 第503回

経営にエールを贈る「ケイエール」とは? 中小企業の日常業務をデジタル化

2022年09月12日 12時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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日本では8割以上の中小企業がDXを実施できていない、特に地方

 信金中央金庫は、信用金庫の中央金融機関として、全国の信用金庫の業務をサポート。中小企業の経営支援や地域活性化などに取り組んでいる。

 信用金庫は、全国254金庫、7100店舗、役職員数10万人、会員数約900万人を有しており、貸出し業務では124万社の中小企業との取引がある。

 柴田理事長は、「日本では、8割以上の中小企業がDXを実施できていない。大企業と比較して取り組みが進んでいないことや、都市部よりも、地方での遅れが顕著である」と語る。

 地方では88.1%の中小企業がDXを実施していないというデータがある。

 「背景には人材やノウハウの不足などあり、多くの中小企業は、自社単独ではDXを実現することが困難な状況にある。2023年10月から開始されるインボイス制度への対応や、人手不足を補うための生産性向上といった観点からも、中小企業にとってDX推進は、すぐに取り組むべき重要な課題となっている」とする。

リアルなやり取りの補完し、さらに深めるツール

 ケイエールは、中小企業が抱えるデジタル化の課題を解決するツールとしての役割を果たす一方で、コロナ禍において大きく変化した顧客接点を補完するものにもなる。

 須藤副理事長は、「全国254の信用金庫は、それぞれの地域において、中小企業の経営者とフェース・トゥ・フェースで、経営や融資のほか、景気や物価、ご子息の進学の話など、幅広い対話を通じて、課題解決に向けて伴走してきた。これは信用金庫にとって当たり前のことであり、強さの源泉でもあった。だが、新型コロナウイルスによって、直接お会いできない中小企業の皆様が増え、それに対して、不安の声も数多くもらった。信用金庫にとっても、お客様が必要とされる時にそばにいることができない。いまが、信用金庫業界として、新たな一歩を踏み出す時期だという思いを強くした」と述べ、「信用金庫が大切にしてきた対面でのコミュニケーションの重要性は今後も変わることはない。だが、1番大切なことは、いつでもどんな時でも、お客様に寄り添って、誰ひとり取り残さず、地域の皆様のお役に立つこと、そして中小企業や地域の皆様のいい顔を作っていくことである。そこで、非対面であっても信用金庫がいつもお客様のそばに寄り添うことを可能とする新たなサービスの開発を急ぐことにした。単にデジタルやリモートという流行りに乗るのではなく、信用金庫らしいコミュニケーションを大切にするデジタルサービスを目指した。それがケイエールである」とする。

 リアルなコミュニケーションを補完するだけでなく、信用金庫によるサポートをより身近なものにし、リアルでのコミュニケーションがより深まるツールとして、デジタルを活用する考えだ。

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