玄人志向からGPUに「Radeon RX 6700」(以下、RX 6700)を採用したビデオカード「RD-RX6700-E10GB/DF」が発売された。RX 6700は「Radeon RX 6700 XT」と「Radeon RX 6650 XT」の間に置かれたモデルで、ミドルレンジ向けの製品となる。では、RD-RX6700-E10GB/DFはどのようなカードなのか? ゲームは快適にプレイできるのか? 実際にテストを行なってその実力を確かめてみたい。
45MHz引き上げたクロックアップモデル
カード長は実測で約230mm
まずは、RD-RX6700-E10GB/DFの動作クロック設定から紹介していこう。RD-RX6700-E10GB/DFのベースクロックやゲームクロックは公開されていないものの、ブーストクロックは2495MHzで、これはリファンレスの2450MHzから45MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。クロックアップモデルの多くが製品名に“OC”と入れているのに対して、このRD-RX6700-E10GB/DFは入っていない点は注意したい。
ちなみに「GPU-Z」(Version 2.47.0)で、負荷を掛けた際のRD-RX6700-E10GB/DFのGPUコアクロックを追ってみたところ、2577MHzまで上昇しているのを確認した。なお、メモリークロックは16Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。
カードは、黒色のシュラウドで覆われたスタンダードな構成。側面を見ると“Powercolor”のロゴが入っているので、同社のOEM品ではないだろうか。同社の「Fighter」シリーズを彷彿とさせる外観だ。カード長は実測で230mmほどと、短尺とまでは言わないまでも比較的短めにスッキリとまとまっている印象だ。カード裏面にはバックプレートは装着されておらず基盤がむき出しだが、このクラスの製品ではよく見かけるものだ。
GPUクーラーは、2スロット占有タイプで90mm角相当のファンを2基搭載。ファンのブレードは9枚構成で、ブレード表面は研磨された光沢のある仕上がりになっており、表面と裏面の摩擦係数の違いによりエアフロ―の効率化を図っているようだ。また、GPUの負荷が低い、いわゆるアイドル状態にはファンの回転を停止する機能も用意されている。
カードを横から見ると、GPUクーラーに3本の6mm径のヒートパイプが用いられているほか、放熱フィンはカード全体を覆うほど大きなものであることが確認できる。また、メモリーチップや電源部にもヒートシンクが接する構造を採っており、冷却面にもしっかりと配慮がなされている。そのほか、カード裏面から察するに、電源部は6フェーズ構成のようで、さすがにハイエンド向けの製品と比べると少ないが、このクラスでは十分な仕様と言えよう。
補助電源コネクターは8ピンと6ピンを1つずつ装備。RX 6700のリファレンススペックでは、補助電源コネクターが8ピン1基のみとなっているので、RD-RX6700-E10GB/DFはクロックアップを考慮し、6ピン1基分、つまり75W分の電力供給量の強化がなされているということになる。映像出力はDisplayPort 1.4a×3にHDMI 2.1×1という構成。最近のカードではよく見かける構成だ。