自動配送ロボの国内実用化を進めるには?アイシン、ドコモ、東芝、LOMBYが講演
「自動配送ロボのラストワンマイルシリーズ03」レポート
LOMBY株式会社「物流ラストマイルの人手不足を解消する自動配送ロボットLOMBY」
特別講演では2022年度の「NEDO革新的ロボット研究開発基盤構築事業」に採択されたLOMBY株式会社 代表取締役の内山 智晴氏が登壇し、同社が開発する自動配送ロボット「LOMBY」を用いた実証実験について説明した。
内山氏は2017年にYper株式会社を設立し、再配達問題を解消する置き配バッグ「OKIPPA」のサービスを提供している。LOMBYの開発はYperの新規事業としてスタートし、2022年4月にLOMBY株式会社として独立した形だ。
LOMBYは、カメラを搭載した機体をパイロット(操縦者)が操作する、遠隔操作型のロボット。自律走行型に比べて開発費を抑えられ、3次元地図の作成が不要なのであらゆる場所への早期の導入が可能だ。
宅配業界の人手不足問題の原因として、重量物の運搬や長時間労働といった厳しい労働環境、勤務場所が都心に集中すること、免許による制限などがあり、女性や高齢者の参入の難しさが挙げられる。遠隔操作ロボットであれば、女性や障がい者、高齢者を労働力として確保できそうだ。人によるオペレーションは必要だが、同社が開発する自動積載可能なIoT宅配ロッカーと組み合わせることで、現場での無人化が実現できる。
ロボットへの積み荷や受け渡しを無人化するため、LOMBYの荷台をカスタマイズし、宅配ロッカーとの連携機能を開発し、2021年10月に広島県で実施した実証実験では、スーパーのバックヤードと300メートル先の北広島町役場にそれぞれ宅配ロッカーを設置し、LOMBYによる無人配送を行なった。集荷所のロッカーからロボットが自動で商品を荷台に移し替えて、配送先のロッカーへと収納する仕組みで、現場に人がいなくても集荷や受け渡しできるので効率がよく、24時間の配送も可能になる。街中に設置されている他社の宅配ロッカーとも連携すれば、さらに効率化が図れそうだ。
2022年4月には高円寺の公道、6月には東京都立大学の構内、7月には広島工業大学構内で実証を実施。2022年度NEDO事業では、2023年から10台以上での公道走行の実現に向けて開発を進めていく予定だ。