IoTプロダクト事業を特に成長領域として定める
日立GLSでは、2024中期経営計画において、4つの事業領域に力を注ぐ方針を打ち出した。
従来からの家電製品をベースに、DXによって徹底的に効率化を図る「基盤プロダクト事業」、コネクテッド家電などのIoTプロダクトによってサービス基盤を構築し、家電の接続率を高める「IoTプロダクト事業」、低環境負荷のモノづくりと、ESG経営の実践を進め、グリーン化を促進する「プロダクト資源循環事業」、デジタルサービスやサブスクリプション事業に取り組む「ソリューション、サービス事業」である。
とくに成長分野として注目されるのが、「IoTプロダクト事業」である。
大隅社長も、「IoTプロダクト事業領域は大きく伸長している分野であり、家電接続率を向上させ、そこからデジタルデータを利活用するソリューションやサービスを事業として拡張していきたい」とする。
コネクテッド家電としては、すでにカメラ機能搭載した冷蔵庫を発売し、ドアを開けると自動的に内部を撮影し、買い忘れや自動購入を減らして毎日の食材管理を手軽に行えるようにしたり、洗濯乾燥機では、洗剤や柔軟剤の在庫量が少なくなったら、自動で発注し、購入の手間や、購入後に重たい商品を店から運ばないで済むといったメリットを提供したりしている。また、電子レンジでも、日立独自のヘルシーシェフアプリを利用して、スマホとつなげることで、日々の献立の提案や新しいレシピの提案を行う機能を提供している。
大隅社長は、「コネクテッド家電の拡大とともに、データ基盤の立ち上げにも取り組む。コネクテッド家電から得られたデータをモノづくりにも生かし、品質の高い商品をお客様に提供したり、サービス品質を高めたり、新たなソリューションの創出にもつなげたい。商品を売って終わりというビジネスから脱却したい」と語る。
そして、「機能が増えれば、ボタンがどんどん増えていくのが、これまでの家電。だが、それらの機能は使ってもらえているのか、本当に求められている機能はなにかということをデータから知り、それを商品に反映したり、協創パートナーとのサービス創出につなげたりしたい」とも語る。
日立GLSでは、日立家電メンバーズクラブを通じて、ユーザーとつながることで、様々な情報を発信したり、データを収集したりといったことも進めている。
データの活用によって、家電やサービスをどう進化させていくのか。そこにも、大隅社長の長年のITソリューション事業での経験が生かされそうだ。
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