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パナソニックコネクトともに小売店舗の現場改善を実践

現場のPDCAが変わる! イオンリテールがAIとデジタルサイネージで従業員満足度を向上

2022年08月25日 12時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 イオンリテールは、従業員約12万人のEX(Employee Experience=従業員体験価値)の向上に向けて、チームの勤務計画を自動起案する「AIワーク」と、デジタルサイネージでチーム内の情報共有を行なう「MaIボード」を導入する。2022年7月からイオンおよびイオンスタイルに展開し、小売店舗の現場におけるスマートな働き方の実現につなげる。

MaIボードを活用したミーティングの場面

勤務計画を自動で立案する「AIワーク」とデジタルサイネージ「MaIボード」

 AIワークはパナソニックコネクトが開発したSaaS型業務アプリケーション「CYTIS Shift(サイティス シフト)for Retail」をカスタマイズしたものだ。従業員一人ひとりの勤務パターンをシステムに入力し、モデルを作成。その後、実際の勤務希望と月間労働時間をもとに、AIがチームの勤務計画を自動で起案する。従業員は勤務希望の提出と勤務シフト確認を携帯端末から行なえる。

 さらに、勤務パターンだけでなく、一人ひとりの職能もデータ化することで、チームの課題を把握しやすくなり、補充人員の確保や技能教育などをスムーズに行なえるという。今後は、時間帯ごとの作業割り当てといった、より細かい対応を可能にする機能も実装する予定だ。

 また、MaIボードはパナソニックコネクトのデジタルサイネージソリューション「AcroSign(アクロサイン)」の技術をベースに、データ制御や専用管理画面などのアプリケーションとコンテンツを、両社が共同設計および開発した。「Multi Action Information Board」の頭文字をとっている。

 従来は、連絡ノートや掲示板などによって情報共有を行なっていたが、これをデジタルサイネージ環境に移行。従業員による情報共有のツールにしていく。

 イオンリテール 執行役員 システム企画本部長の山本実氏は、「従業員が、無駄なく、無理なく働くことができる環境を実現することが狙い。また、マネージャーは業務の3分の1がデスクワークになっており、本来の業務である店舗に立つ時間を増やす必要があった。AIワークとMaIボードを活用いることで、時間を取られていた勤務計画作成業務を短縮し、生産性の高い業務を実現。これによって、店舗全体の生産性も高めることができる。小売業のEX推進において、重要な取り組みになる」などとした。

イオンリテール執行役員 システム企画本部長の山本実氏(左)と、イオンリテール システム企画本部副本部長の山村卓也氏

 2022年6月に、62店舗で試験導入した結果、利用部門における勤務計画の作成時間は70%削減でき、計画に関わる紙の使用量を90%削減できたという。AIワークは、2022年7月から、全国350店舗への導入に向けて順次展開。MaIボードは、すでに240店舗に導入しており、順次拡大する予定だ。

AIワークで変化するPDCAの具体例 スキルに応じた勤務計画が可能に

 イオンリテールの山本執行役員は、「AIワークとMaIボードによって、現場でのPDCAのサイクルを変えていくことができる」とし、それぞれの活用シーンから機能や効果を説明する。

AIワークによるPDCAサイクル

 PLANでは、店舗内で20~30人のチームを統括しているマネージャーが、チームの勤務計画を立案するが、これまでは紙で提出された従業員の勤務日、休暇日の希望をもとに配分する作業を行なっていた。これを、スマホを通じて希望の休みを登録できるようにし、データをもとにAIを活用して計画を自動作成。従業員はスマホでシフトを確認できるようになる。

「AIワークでは、個人のスキルを組み込んだ勤務計画を立案できる。たとえば、デリカでは、揚げ物というカテゴリーにおいて、コロッケは揚げられるが、てんぷらは揚げられないという従業員がいる。従業員には、スキルの違いがあり、こうした点までを加味した形で勤務計画を立てる必要がある。AIワークでは、従業員が持っているスキルまでを捉えて、現場に支障が起きないように、シフトを自動作成できる」という。

 DOでは、MaIボードを利用して、必要な情報を瞬時に出して、改善のポイントも共有。目標達成に向けて部下からアイデアを引き出しながら作業を遂行できるという。また、CHECKでは、計画と実績の差を分析し、PC上のダッシュボードに表示。要因を発見し、それを解決するためのヒントを提示して、合理的な改善につなげたり、次のPLANに反映できるという。

 そして、ACTIONでは、これまでの情報をデータ化し、足りない部分が発見されれば、改善計画に基づいた対策を実施。契約変更や他チームからの応援要請、従業員のスキル習得や人員配置に向けた改善を進めることができる。「人員が不足しがちな時間帯があることをデータから可視化できれば、それにあわせた人員採用も行なえる」という。

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