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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第244回

トップガン・マーヴェリックに登場するカワサキ「H2」は心をDANGER ZONEへ誘う1台

2022年08月14日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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長距離クルーズを得意とする運動性能

 イグニッションを回すと、やや金属的なタービン音に混じった直列4気筒らしい排気音が響きます。攻撃的爆音かと思っていたので「意外と静かだな」と感じました。深夜や早朝にエンジンを回しても、ご近所から「うるさーい、なんてね火山が大噴火」にはならないでしょう。

 ブレーキレバー、クラッチレバーは剛性感のある高級フィーリング。さすがブレンボ、操る楽しみがあります。左手のグリップ部は、かなりボタンが多い印象な上に、親指をかなり伸ばさないと押しにくいように感じました

 スタンドは洗車時にチェーン洗いが便利なセンタースタンドもあるのがうれしい限り。クラッチを握りしめ左足でニュートラルから1速へ切り替えると、ガツンという強い衝撃に思わず身震い。過給機付いているから……、200馬力だから……と、思いながらクラッチレバーをリリースし、恐る恐る走り始めたのですが、アクセルワークに反応してガクガクすることなく、実にスムーズで実に扱いやすく拍子抜け。

 金属的な音が混じる独特のエンジン音を聞きながら、2速、3速とシフトアップ。クイックシフターは、エンジン回転数が2500回転より上ならアップダウンできますし、シフトダウンもラクラク。スーパーチャージャーを搭載したからといって身構えていたのが馬鹿みたい。乗り心地も、実に快適。車体に重量があるので、ドシッとした安定感と足がよく動くという印象で、荒れた道も怖くなく。いたって普通のバイク、いや乗り心地のよいバイクではありませんか。ただひとつ「とんでもなく速い」ということを除いては。

 3速3000回転で50km/h、そのまま6000回転まで上げると100km/hに上がるのは、リッターバイクでは普通の話。ですが、そこに至るまでの中間加速がとんでもなく、1秒もかからない! 感覚としては、ちょっとアクセルを回したらメーターは3桁に突入しているわけで、いつでもどこでもDangerZoneに突入できるといっても過言ではないほど。それゆえか、いく度となく白と黒のツートーンバイクがバックミラー越しにチラチラ見えるわけで、どうやらオフィシャルからも「速いバイク」と認識されている模様です。

 取材日は記録的酷暑の昼間の都内。バイクの外気温計は40度、信号待ちでは水温計が98度、そして100度を指し示し「オーバーヒートするのでは?」とドキドキ。だけど、ニ-パッドは相応に熱いものの、エンジンの熱で蒸し風呂状態にはならないから不思議。ちなみに走り始めれば水温は簡単に10度近く下がるので、人間の体温的にも走り続けたいところ。

 主にトラクションコントロールなどの制御が変わるモード切替は、SPORT、ROAD、RAINのほか、個別設定であるRIDERの4種類。魔がさしてSPORTにすると、それまで身を潜めていた過激さが姿を現します。といっても、回さなければフレンドリーなのですが。

 クルーザーということで、バイクを一路高速道路へ。速度域は上がり6速2500回転で80km/h、3000回転で100km/hといったところ。抜群の安定感で怖さは皆無です。さらに安心なのはミラーに接近車両の警告が点灯するところ。バイクの場合、真横に近いところは見えづらいので、これは実にうれしい機能です。

 ここでアダプティブクルーズコントロールをオン。使い方は自動車と一緒で迷うことはありません。ただ車間距離設定はできないようで、前走車との距離は約3秒で固定される模様。この3秒は都心部の高速道路としては、間隔をかなり開けて走っている状態で、横から車がガンガン入ってきます。ですが、横から入ってきたら速度を落として、間隔を維持しようとします。MT車でクルーズコントロールって、速度が落ちたらどうなるのかな? と思ったのですが、トルクが太いためか6速60km/hに落ちても、そこから加速設定速度まで加速していきます。シフトを落とす必要はありません。

 さて、気になる燃費ですが、販売店の方によるとリッター18kmは行くとのこと。軽自動車並といえそうです。ですがストップ&ゴーを繰り返し、かつ速度域の低い都内では、20kmくらい走行して燃料計の目盛りが2個消えるなど、かなり悪めの印象。この事を販売店の方に伝えると「そうなんですよ。途端に悪くなるんです」と苦笑い。なるほど、長距離ツアラーに適しているバイクなのかと改めて思ったのでした。

【まとめ】トムにピッタリの高性能
きっとカワサキが好きになるカッコ良さ

 さて、本題のトム・クルーズ気分が味わえたのか? というと、「さすがトムが乗るだけのことはあるバイク」という気分は楽しめました。後ろに金髪美女が乗るタンデムができたら、さらに最高だったのは言うまでもありませんが。

 正直申し上げると、実はこのH2が私にとって初めてのカワサキのバイク体験。それまでカワサキの名は知っていても、触れるきかっけがありませんでした。「なんだ映画きっかけのミーハーじゃねーか」と思われることでしょう。でもいいじゃないですか。みんな最初は憧れて興味を抱くのですから。そして今は「カワサキ、いいかも!」と思っている次第です。

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