Apple Silicon上では、利用できるOSの種類が少ないのが難点
現在では、Apple Silicon(M1、M1 Pro、M1 Max、M1 Ultra、M2)を搭載したMacばかりが注目されがちだが、当然ながらParallels DesktopはインテルCPUを搭載したMac上でも動作する。いわゆるユニバーサルバイナリのアプリということになる。
ただし一般的なユニバーサルバイナリのアプリの場合、インテルCPU搭載機上でもApple Silicon搭載機上でも、ほぼ同等の機能を発揮するのに対し、Parallels Desktopの場合には両者で性格が大きく異るものとなってしまう。アプリの機能としてはほとんど同じだが、利用可能なゲストOSの種類が大きく異なるのだ。
簡単に言えば、インテルCPU搭載Mac上で動かした場合には、x86_32およびx86_64アーキテクチャ用に開発されたOSのみを動かすことができるのに対し、Apple Silicon搭載Mac上では、ARM64アーキテクチャ用のOSのみを動かすことが可能となっている。
両者のゲストOSの種類を表で比較してみよう。
●Parallels Desktop 18で利用可能なゲストOS
これはちょっと考えると、致し方ないことのように思えるかもしれない。しかし、世の中にはCPUの違いを乗り越えるような仮想環境ソフトウェアもある。また、仮想環境ではないが、macOS上でRosetta 2を利用することで、インテルCPU用に開発されたアプリを、Apple Silicon上で動かすことも実用的に可能となっている。
いつも同じことを言うようだが、Apple Siliconを搭載したMac上のParallels Desktopで、インテルCPU用のOSとアプリを動かすことができるようになれば、Parallels Desktopの価値も、ひいてはApple Silicon搭載Macの価値もかなり大きくなるのは間違いない。これは今後のアップデートに期待したいところだ。
一方、ホストOSとしてParallels Desktop 18を動かすことのできるmacOSも、意外に少ないと感じられるかもしれない。次に挙げるように、Mojave(10.14)以降の4種類だ。
・macOS Monterey
・macOS Big Sur
・macOS Catalina
・macOS Mojave
なお、上の表から分かるように、ゲストOSとしてはMac OS X Lion(10.7)以降が利用可能であり、ホストOSの範囲との違いは大きい。これについては、そのサポート範囲の幅の違いが大きいほど意味あると考えられる。なぜなら新しいMacでも、Parallels Desktopを利用することで、すでにその機種がサポートしなくなった古いmacOSを動かすことができるようになるからだ。
意外なことに感じられるかもしれないが、現状でもx86/x64向けに開発された(64ビット版を含む)Windowsアプリを、Apple Silicon搭載MacのParallels Desktopで動作するARM版Windows上で動かすことは可能となっている。ARM版Windowsにも、RosettaのようなCPUコードのトランスレーション機能が搭載されているからだ。これは、100%のアプリが動作するとは言い切れないものの、Parallelsによれば、99.9%は動作するという感触を持っているという。
ARM版Windowsさえ動かしてしまえば、Windowsアプリレベルでの互換性は、ほとんど気にする必要はないということかもしれない。