超小型モバイルPC(UMPC)専門店のハイビームは、中国・深センのAYANEO社が開発したゲーム機型UMPC「AYANEO AIR」シリーズを9月16日から順次発売する。ハイビーム公式オンラインストアでは、8月5日から先々行予約受付も開始。8月18日までは本体15%引き、周辺機器10%引きの先々行予約価格での販売となる。
また、8月5日から7日までは、ハイビーム秋葉原本店にて実機展示も行なう予定だ。先行して発売するのは「AYANEO AIR LITE」「AYANEO AIR STANDARD VERSION」の2機種。なお、9月下旬にはよりスペックの高い「AYANEO AIR Pro」「AYANEO AIR Pro ADVANCE VERSION」の発売も予定している。各スペックや価格は下記の通り。
AYANEO AIR LITE | AYANEO AIR STANDARD VERSION | AYANEO AIR Pro | AYANEO AIR Pro ADVANCE VERSION | |
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CPU(APU) | AMD「Ryzen 5 5560U」 (6コア/12スレッド、最大4GHz) |
AMD「Ryzen 7 5825U」 (8コア/16スレッド、最大4.5GHz) |
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ディスプレー | 5.5型アクティブマトリクス式有機EL(グレア) | |||
解像度 | 1920×1080ドット(マルチタッチ対応) | |||
メモリー | 8GB (LPDDR4X-4267、デュアルチャネル) |
16GB(LPDDR4X-4267、デュアルチャネル) | ||
SSD | 128GB | 512GB | 1TB | |
カラー | オーロラホワイト | オーロラホワイト、 ポーラブラック |
ポーラブラック | |
インターフェース | USB Type-C×2、TFカードスロット×1、3.5mmイヤフォンジャック | |||
スピーカー | デュアルチャネルスピーカー | |||
バッテリー | 7350mAhバッテリー(28Wh) | 10050mAhバッテリー (38Wh) |
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通信 | Wi-Fi 6/Bluetooth 5.2 | |||
サイズ | 約224(W)×89.5(D)×26(H)mm | 約224(W)×89.5(D)×29.6(H)mm | ||
重量 | 約398g | 約450g | ||
OS | Microsoft「Windows 11 Home 64bit」 | |||
OS | 10万7800円 | 13万2000円 | 14万8500円 | 20万6800円 |
AYANEO AIR LITEおよびAYANEO AIR STANDARD VERSIONは、398gという重量を実現したゲーミングUMPC。8月5日現在、Windows 11を搭載したゲーミングPCとしては世界最軽量(ハイビーム調べ)としている。この重さはJoy-Conを取り付けたNintendo Switchとほぼ同じくらい。サイズ感としては、グリップ部分にそれなりの厚みはあるものの、フットプリントはNintendo Switch Liteよりやや横幅が大きい程度だ。なお、AYANEO AIR ProとAYANEO AIR Pro ADVANCE VERSIONは450gとなり、本体の厚みが増している。
ディスプレーは5.5型の有機EL(OLED)。解像度はフルHD(1920×1080ドット)でマルチタッチに対応する。CPUは、下位3機種はZen 3アーキテクチャーを採用した6コア/12スレッドのAMD製APU、Ryzen 5 5560Uを搭載している。最上位のPro ADVANCE VERSIONのみ、8コア/16スレッドのRyzen 7 5825Uだ。メモリーはLPDDR4X-4267のデュアルチャネル。LITEは8GB、ほか3モデルは16GB搭載する。
内蔵SSDの容量は、LITEが128GB、STANDARD VERSION/Proが512GB、Pro ADVANCE VERSIONは1TB。なお、microSDカードスロットを備えているため、ゲームデータを外付けのSDカードにインストールしておくことも可能だ。
USB Type-C端子を上下に1つずつ備えており、充電だけでなく映像出力も可能。無線LANはWi-Fi 6に対応し、無線デバイスの接続にBluetooth 5.2を使用できる。ゲームプレイ中のバッテリー駆動時間は、ゲームの負荷にもよるが、およそ1~2.5時間程度とのこと。上位のProとPro ADVANCE VERSIONはバッテリー容量が増え、下位モデルよりも長持ちする。
今回、発売に先駆けて、ハイビーム秋葉原本店にてAYANEO AIR STANDARD VERSIONの実機を触ることができた。コントローラー部分に厚みがあるため、グリップ感が良く、市場に流通している携帯ゲーム機と比べても手首や指への重さを感じづらい印象を受けた。
ボタン配置は、右側が上部にボタン/下部にスティック、左側が上部にスティック/下部に方向ボタンというPC向けゲームパッドで一般的な配置。スティックのキャップはUMPCとしては大きく、適度なくぼみがあって汗をかいても滑りにくい作りだ。
スティックの軸部分には、電磁誘導を利用したホール電磁ロッカーを採用。磁気干渉を抑えて、意図しない入力がされるドリフト現象がおきにくくしているとのこと。
人差し指側にあるRB/RTボタン、LB/LTボタンは、深めのストロークでほとんどクリック感がないタイプ。カチカチとした音が出ず静音性に優れている。ちなみに説明されなければ気づかなかったが、RBボタン、LBボタンそれぞれの内側に1つずつ、任意で設定可能なボタンを備えている。
そのほか、コントローラー部分にモーターを搭載し、振動機能も備えている。また、ジャイロスコープを搭載しているので、傾きなどを検知することも可能だ。PCゲームで対応しているタイトルはあまり見ないが、ものによってはより臨場感のあるゲーム体験を得られるだろう。
ちなみに、カラーバリエーションはオーロラホワイト、ポーラブラックの2つがあるが、現在LITEはオーロラホワイト、Pro/Pro ADVANCE VERSIONはポーラブラックのみ。STANDARD VERSIONだけは2種類から選択できるようになっている。
AYANEO社はAMDとの強力なパートナーシップのもとに開発を行なっているといい、内蔵グラフィックスのパフォーマンスが高いRyzen APUを採用している。同社の検証によれば、重めのタイトルは画質調整が必要なものの、HD解像度(1280×720ドット)であれば近年のAAAタイトルもある程度のパフォーマンスでプレイできるという。
実際に、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」を会場でプレイしてみたところ、HD解像度の画質設定「中」では、50fps以上を維持できているように見えた。画質設定を「高」に上げるとさすがにフレームレートが落ちてしまったが、グラフィックの設定次第で十分遊べそうだ。
ちなみに、解像度はHDではあったが、5.5型のため粗さが目立つほどではなかった。あまり解像度を上げても、このサイズだとUIが小さくなりすぎてしまうので、HD解像度でもちょうどいい印象だ。有機ELディスプレーを採用しているため発色も良く、ゲーム体験としては十分快適だった。
ただ、ゲームを起動してしばらく使っていると、ファンがフル回転しながらも背面にそれなりに熱さを感じるようになっていたので、暑い部屋で充電しながら1日中ゲームをプレイし続ける……といった無茶をさせるのは控えたほうがいいかもしれない。
使い心地が気になる人は、8月7日までと短い期間ではあるが、ハイビーム秋葉原本店の実機展示を触ってみるといいだろう。
また、専用ドッキングステーションや専用ケースといったアクセサリーも同時に発売している。ドッキングステーションを使えば、大型のディスプレーやマウス、キーボードを接続してデスクトップPCのように使えるし、専用ケースを使えば持ち運びで傷がつく心配がなくなる。自分の使い方に合わせて、これらの導入を検討してみてもいいだろう。