ファンの意見を取り入れて成長した
シャオミならではのミーティング
シャオミは7月31日に、東京都内で「Xiaomiモノづくり研究所」を開催した。これはシャオミの製品担当者とファンが直接コミュニケーションしながら意見を募り、シャオミの製品開発や戦略に活かしていく取り組みで、日本では初開催となる。
会場には多数の応募者の中から、“研究員”として選ばれた約20名のシャオミファンが集結。そしてシャオミ側の代表としては、シャオミジャパンのプロダクトプランニング本部 本部長である安達晃彦氏が参加している。
会の冒頭には、シャオミの東アジア担当ゼネラルマネージャーであるスティーブン・ワン氏が登場。現在出張中のためリモートでの登場となったが、「皆さんからいただいた意見は非常に貴重なもの。早ければ2023年、さらにその先に向けて活用したい」と話し、ファンからの声に強い期待を寄せている様子を示していた。
続いて安達氏から、世界3位のスマートフォンメーカーであることや、2000以上のIoT製品を手掛けていること、独自技術によるイノベーションに力を入れていることなど、改めてシャオミの概要について説明がなされた。こうした内容はファンが良く知るところでもあるが、同社のスマートバンド「Xiaomi Smart Band」シリーズが、日本のサウナ利用者から人気になっていることなど、やや意外な裏話も披露されている。
その後は事前に参加者らから寄せられたアンケートの結果を基にしながら、安達氏と参加者らによる意見交換が実施された。ちなみに参加者の多くがすでにシャオミ製スマートフォンを持っており、中には9台もの端末を持っているという“強者”もいた。
そうした中でも時間をかけて議論された内容の1つが、防水・防塵やFeliCa(おサイフケータイ)といった日本固有の機能について。これら機能に対応する上では日本向けに独自のカスタマイズをする必要があり、その分コストが高くなってしまうことから、シャオミとしてもその搭載の是非についてユーザーの声が気になるようだ。
参加者へのアンケートによると、FeliCaに関しては搭載が必須という人が4分の1、搭載していなくても購入の検討はするという人がおよそ6割となった。ただFeliCaが必須ではない、不要という人の意見を聞くと他のスマートフォンやスマートバンドなどでFeliCaを使っているようで、何らかの形でFeliCaの利用がなされている様子だった。
一方の防水・防塵に関しては、国内で一般的な「IP68」の完全防水を求める人は3割、海外で一般的な「IP53」の生活防水でよいとする人が5割という結果に。「水没させるのは人生のうち1、2度」なのでなくてもいいという声がある一方、ハイエンドモデルを中心に他社がすでにIP68への対応をしていることから、IP53では「横並びにすると不利」という意見も挙がっていた。
また、今後シャオミが力を入れるべき端末のセグメントはどこか? という質問には、パフォーマンスとデザインを両立した6~7万円台の端末に最も多く票が入るなど、ミドル~ミドルハイの中価格帯に支持が集まる結果に。足元の動向を見ると、政府による値引き規制の影響などもあって20万近い値段のフラッグシップモデルと、2万円台の低価格モデルに市場が二分しているが、参加者からは低価格で性能が低いモデルがAndroidの評価を落とす要因になっているため、「3~4万円台で性能がいいものを投入して欲しい」との声も挙がっていた。
またシャオミ自身が力を入れていくべきこととしては、やはりコストパフォーマンスの追及が上位に挙がっているが、スマートフォンのデザイン面での追及に関する要求も多く挙がっていたようだ。日本では現在、薄さとデザインを追求した「Mi 11 Lite 5G」の後継モデルが投入されていないこともあり、コストパフォーマンスだけでなくデザイン性の高い端末を求めるニーズも少なからずあるようだ。
そしてイベントの最後には、抽選会も実施。加湿器などのIoT製品から、発売されて間もない「POCO F4 GT」など、さまざまなシャオミ製品が参加者にプレゼントされていた。
安達氏に聞く!
ファンとの対話はブランドイメージを変える狙いも
イベント終了後には安達氏から、今回のイベント実施に関する経緯やその意義などについて話を聞くことができた。シャオミモノづくり研究所の開催自体は今年5月に打ち出されたものだが、「早く1回やらなければ」という思いがあったとのこと。特に開催を強く要望していたのがワン氏だったとのことで、シャオミはインターネットを中心にファンを醸成して成功した経緯もあることから、日本でも顧客とファンとの接点を作る取り組みをいち早く実施したかったのだそうだ。
それゆえ今回のイベントは、運営を外部に委託するのではなくシャオミジャパンの社員が直接イベントを企画・開催する形となったが、オフィス以外の場所で熱量の高いファンに直接意見を聞くことができたことは、業務に与える影響も大きいのではないかと安達氏は話している。
また安達氏はイベントを実施する理由について、ユーザーの意見を製品に取り入れることに加えてもう1つ、ユーザーの声を聞いてファンと近い距離にあるメーカーであるというブランドイメージを作り上げることも大きな狙いだとしている。ファンとのイベントを継続的に実施することにより“安い中華メーカー”という現在の日本でのイメージを変え、独自性を打ち出していきたい考えもあるようだ。
なお安達氏によると、Xiaomiモノづくり研究所は今後も数ヵ月など一定のペースで実施していく方針とのこと。次回の実施時期はまだ決まっていないというが、今回参加できなかった人も次回の開催には期待しよう。