初のPNPベースのプロセッサー
Enviseが誕生
このPNPの概念をLightmatterが発表したのは2019年のことであるが、そのLightmatterは今年3月に、Enviseと呼ばれる初のPNPベースのプロセッサーを発表した。
Enviseの外観は「電源端子が4つ?」に見えるが、これを拡大してみると、16レーン(?)の光出力が4組用意されているようだ。
内部構造であるが、これが今ひとつわからない。と言うのは、“Inside the chip”で示されたのが下の2つの画像である。
察するに、Enviseは2層構造になっており、下層がいわゆるCMOSベースのチップで、その上にPNPが搭載される格好になっているのだろう。
なぜCMOSが下層か? というと、パッケージ裏面からBGAの形で信号を引っ張りだすとしたら、間にSilicon Photonicsを利用したPNP層が挟まっているのは、配線取り回しでいろいろと不都合が多い。したがって最終的なパッケージは、CMOS層の上にPNP層が載っていると考えるのが自然だ。
ただそれをまとめて製造しているのか、それともCMOS層とPNP層を別々に製造して、後工程で張り合わせているのかは不明である。現時点では張り合わせているように思う。
作り方はともかくとして、まず下の画像のPNP層の方だが、こちらは32個のRISCコアと500MBのSRAM、それとGraph Processor(グラフ処理をここで行なうのだろう)とPhotonic Tensorcore Controlユニット、あとはPCIeとFabric(Enviseは複数チップで連動させることが可能で、その際の外部I/FがこのFabricに当たる部分だろう)から構成される。
おそらくPhotonic Tensorcore ControlはPNPの制御部分のロジックで、ここにはTSVも搭載されており、そのTSVでPNP層と接続するものと思われる。一方のPNP層の方、こちらは147個のMZI(LightmatterではこれをPhoto Arithmetic Unitと呼んでいるが、MZIだけなのか、他になにか入っているのかは不明)が2組用意される。
中央に隙間があるのは、ちょうどこの下にCMOS部のPhotonic Tensorcore Controlが位置する格好になっており、ここから制御信号がTSV経由で渡されてPhotonic Tensorcore Controlに分配される格好なのだろう。
LightmatterはこのEnviseをチップ単体売りではなく、システム売りの形で提供することを想定している。

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