“Project Arctic”を製品化、ハイブリッド/マルチクラウドの一元運用管理を可能に
VMwareが「vSphere+」「vSAN+」発表、分散オンプレミス環境をクラウド管理
2022年06月29日 07時00分更新
米ヴイエムウェアは2022年6月28日、オンプレミスやパブリッククラウドなど多拠点に分散展開するVMware環境をクラウドコンソールから一元管理可能にする「VMware vSphere+」および「VMware vSAN+」を発表した。
インフラ運用管理業務の効率化/自動化、コンテナ/モダンアプリケーション環境構築のセルフサービス化、パブリッククラウドのリソースを活用したキャパシティ拡張(クラウドバースト)、セキュリティポスチャーの修正、コンプライアンスの一元監視などを実現し、「オンプレミス環境にクラウドと同様のメリットをもたらす」ものとしている。
分散配置されたオンプレミス環境をクラウドコンソールで一元監視/管理
vSphere+は、2021年10月開催の「VMworld 2021」においてテクノロジープレビューとして発表された“Project Arctic”を製品化したもの。SaaS型で提供する「VMware Cloud Console」を介して、オンプレミス拠点に分散配置された多数のvSphere/vSAN環境を一元運用管理可能にする。
クラウドコンソールの管理下に置かれるvSphere/vSAN環境は、従来と同様に「vCenter」が制御し、「ESXi」ハイパーバイザ上で実行される。オンプレミス環境の構成には変わりがないため、既存の仮想マシン/ワークロードを修正/変更する必要はない。
このクラウドコンソールは、多様なクラウドサービスをアドオンできる点も特徴だ。インフラ管理者向けサービスだけでなく、開発者向けサービス、ランサムウェア対策/クラウドDRサービスなどが提供される。「クラウドDRサービスの利用により、従来比でTCOを60%削減できる」(同社)。提供するクラウドサービスについては、今後さらに種類を拡張していく計画だ。
もうひとつ、オンプレミス導入しているVMware環境を永続ライセンス方式からサブスクリプション方式に転換して、顧客の投資を保護しながら柔軟な消費モデルを実現することもできるという。この際、使用量の監視(メータリング)や課金といった処理はクラウド側で行われる。
オンプレミスに残り続けるワークロードに、クラウドのメリットを届ける
プレス向けの説明会において、米ヴイエムウェアでクラウドプラットフォーム事業を担当するSVP/GMのクリシュ・プラサード氏は、今回のvSphere+/vSAN+を提供する背景として、企業ワークロードの配置場所が急速に分散化していくことを挙げた。
同社の予測によると、2020年から2024年の5年間で、企業ワークロードの数は3億7000万から5億8000万へと年平均成長率12%で増加していく。その間に、ワークロードのホスト先としてのシェアはパブリッククラウドがオンプレミスを上回るようになるが、それでもまだオンプレミスにはおよそ3分の1(31%)のワークロードが残る。また、通信事業者のデータセンター、エッジといった他の場所でも、ワークロード数はそれぞれ増加する。
「(ヴイエムウェアとして)パブリッククラウドの価値を顧客に提供したい。ただし、セキュリティなどの要件からオンプレミスで稼働させたいワークロードはまだ多く存在する。この2つをうまく融合させるためにはどうしたらよいかを考えた」(プラサード氏)
同社 プロダクトマーケティング担当シニアディレクターであるウェイゴ・ヘ氏は、現在のITインフラにおいて複雑化が進む中で、顧客企業が抱えるさまざまな問題を指摘。今回のvSphere+/vSAN+を採用することによって、「生産性やアプリ開発のスピードが大きく向上する」と述べた。