大阪大学、カリフォルニア大学バークレー校、宇宙望遠鏡科学研究所(Space Telescope Science Institute:STScI)、米航空宇宙局(NASA)、ワルシャワ大学などの共同研究チームは、単独で存在するブラックホール候補天体を世界で初めて発見した。
大阪大学、カリフォルニア大学バークレー校、宇宙望遠鏡科学研究所(Space Telescope Science Institute:STScI)、米航空宇宙局(NASA)、ワルシャワ大学などの共同研究チームは、単独で存在するブラックホール候補天体を世界で初めて発見した。 ブラックホールは、重力が強く、光を飲み込んでしまうため、直接見ることができない。だが、強力な重力場によって、周辺の空間がゆがみ、ほぼ真後ろに並んだ星が増光されると同時に、像が歪んで見える「重力マイクロレンズ現象」を調べることで、その存在を確認できる。 重力マイクロレンズ現象では、レンズ天体(空間をひずませる天体)が重いほど増光期間が長くなる。そこで研究チームは、増光期間が100日以上続く5個の事象をハッブル宇宙望遠鏡で観測し、正確な位置情報の時間変化を数年にわたり取得。地上観測で得られた増光の観測データと、ハッブル望遠鏡による位置観測のデータから、レンズ天体が約5153光年の距離にあり、太陽の7.1倍の質量を持つブラックホールであると結論付けた。 これまで発見されたブラックホールは、銀河の中心にある超巨大ブラックホール以外では、全て伴星を伴う連星であり、単独で存在するブラックホールは発見されていなかった。このようなコンパクトな高密度天体が天の川銀河にどれくらい存在するのかを明らかにすることは、星の進化、特に星の死に方、銀河系の進化を理解するのに役立つという。(中條)