eSportsからリアルレースへ! SUPER GT マッハ号、冨林勇佑選手密着レポ 第2回
結果こそ残らなかったがマッハ号・冨林勇佑が自信を取り戻した“渾身の1周”
2022年05月14日 12時00分更新
前に出るための作戦がアダになった決勝
気を取り直して臨んだ決勝レース。今回は450km(100周)の距離で争われ、途中に2回の給油が義務づけられていた。だが、そのタイミングについてはドライバーの乗車規定(1人が走行距離の2/3を超えて走ってはならない)が守られていれば、どのタイミングで行なっても構わない。
そこで、5号車は1周目に1回目の給油作業を済ませてしまい、残るはレース中に2回目のピット作業をするという作戦に出た。序盤の段階で大きく後退はするものの、途中アクシデントなどでセーフティカーが出た場合には、前方との差を縮めるチャンスが生まれる。その可能性に賭けたのだ。
その中で冨林は、レース前半を担当。展開に応じてピットストップのタイミングが決まる難しいスティントとなったが、着実に自分の仕事をこなしていった。
「決勝もペースは良かったです。状況に応じて、スティントの長さが決まる感じでしたが、比較的プッシュしながらも、タイヤを気遣いながら走っていました。途中トラフィックとかがなければ38秒台を安定して出せていました」
そんな中、全体のトップが43周目に入ったところで、GT300クラスの「RQ's AMG GT3」がADVANコーナー手前でクラッシュ。これによりフルコースイエロー(FCY、コース全域が追い越し禁止&速度制限がかかる)が導入された。
このアクシデントをみた5号車陣営はすぐに動きを見せ、FCYが入る直前で2回目のピットストップを完了させることに成功した。さらに直後にはセーフティカーが入り、各車の間隔はリセットされることに。5号車が一番思い描いていた展開となった。
ところが、クラッシュで破損したバリアを、重機を使って修復しなければならなくなり、49周目に入るところで赤旗が出された。実はトップ集団ではまだピットストップをしていなかったチームがあり、そことは1周差がついていた。つまり、5号車にとっては赤旗中断は誤算であり、この時点で1周遅れとなってしまい勝負権を失ってしまった。
その後レースが再開されるが、59周目にはメインストレートでGT500の3号車「CRAFTSPORT MOTUL Z」が、スロー走行していたGT300車両を避けた際に挙動を見出し、ガードレールに大クラッシュ。幸いドライバーは無事だったが、レースは再び赤旗中断となった。
約1時間30分にわたって中断することとなり、18時10分にセーフティカー先導で隊列が動き出したが、5号車はクラッチトラブルを抱えて発進することができず、マーシャルの手を借りてピットへ。そのままレースを終えることとなった。
「今回は2回の給油が義務ということで、僕たちとしては有利な方向に働くかなと思っていました。それを途中まで実行できてはいたんですけど、赤旗が2回も出てしまって、プランが大きく崩れてしまいました。結果的にかなり損をしてしまいました。最後はクラッチが壊れてしまい、動くことができませんでした。詳しく原因を調べてみないと分かりませんが、赤旗でずっと止まっていたので、熱がこもってしまったのかもしれません」と同じくマッハ号ドライバーの平木選手。
今回は途中まで良い展開で進み、レースペースも良かっただけに、悔しさを隠しきれない様子だった。
「クルマのパフォーマンスに関しては、一発の速さもありますし、フリー走行でロングランの確認した時も、ペースがすごく良かったので、レースとしては戦える感じがありました。だからこそ、悔しいですね。この悔しさは、次の鈴鹿にぶつけるしかないです」(平木)
一方の冨林も、悔しさを抑えて、次の鈴鹿大会に照準を合わせていた。
「勝てる可能性が多いにあった展開だったので、赤旗が出てしまって勝負権を失ってしまったことは悔しいですけど、大きな事故が起きた中で、誰も大きな怪我をせず、無事だったことが一番です。結果は残らなかったですけど、ロングランでのペースが良かったというのは、またひとつ自信になりました。僕の走りとしては満足できる内容でした」(冨林)
次は5月28~29日の第3戦鈴鹿サーキット。マザーシャシー勢にとっては得意なサーキットであるほか、サクセスウェイトがない状態で臨めるだけに、上位入賞も期待できる1戦となりそうだ。
冨林、平木、そしてチームの活躍から、ますます目が離せない。
なお、レースは59周目に起きた3号車のクラッシュにより、約1時間30分に渡って赤旗中断となり、セーフティカー先導でレースが再開されるも、日没が迫る18時20分で終了。全体の周回数が75%に満たなかったため、上位入賞者には半分のポイントが与えられることとなった。
GT300クラスで優勝したのは、10号車「TANAX GAINER GT-R」。2位には34号車「BUSOU raffinee GT-R」、3位には61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」が入り、ダンロップタイヤ装着チームが表彰台を独占する結果となった。
マッハ号を彩るRQのみなさん
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