評論家・麻倉怜士先生による、今月もぜひ聴いておきたい“ハイレゾ音源”集。おすすめ度に応じて「特薦」「推薦」のマークもつけています。優秀録音をまとめていますので、e-onkyo musicなどハイレゾ配信サイトをチェックして、ぜひ体験してみてください!!
この連載で紹介した曲がラジオで聴けます!
高音質衛星デジタル音楽放送、ミュージックバード(124チャンネル「The Audio」)にて、「麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負」が放送中。毎週、日曜日の午前11時からの2時間番組だ。第一日曜日が初回で、残りの日曜日に再放送を行うというシークエンスで、毎月放送する。
『The Four Seasons』
Marco Fiorini、Francesco Buccarella、I Musici
クラシック界最大のヒット、イ・ムジチ合奏団「ヴィヴァルディ・四季」に新バージョンが加わった。第8代コンサートマスター、マルコ・フィオリーニのソロヴァイオリンをフューチャーした新録音だ。
イタリア語で「音楽家たち」という名前のイ・ムジチ合奏団は1952年、サンタ・チェチーリア音楽院の卒業生12人で結成された。第1代コンサートマスター、フェリックス・アーヨの1959年録音のステレオ版が世界的に大ヒットし以後、時代と共にメンバーも入れ替わると、新しいコンサートマスターの元で、「四季」を録音するのが、習わしとなった。最新の「四季」はデビュー70周年の記念アルバム、8回目の録音だ。歴代のイ・ムジチ「四季」を振り返ってみよう。
- 第1代コンサートマスター、フェリックス・アーヨ(在任、1952年~1968年)。1955年7月、アムステルダムにてモノラル録音。
- フェリックス・アーヨのステレオ版。1959年4月-5月にウィーンにて録音。世界的に大ヒットした。ステレオ時代が到来し、以後はステレオ録音。
- 第2代コンサートマスター、ロベルト・ミケルッチ(在任、1967年~1972年)。1969年9月、スイスで録音。
- 第3代コンサートミストレス(在任、1973年~1986年)、ピーナ・カルミレッリ。1982年7月、スイス(ラ・ショードフォン)で録音。イ・ムジチ「四季」初のデジタル録音(以後も)。
- 第5代コンサートマスター、フェデリゴ・アゴスティーニ(在任、1986年~1992年)。オルガンが加わる。1988年7月、スイス(ラ・ショードフォン)で録音。
- 第6代コンサートミストレス、マリアーナ・シルブ(在任、1992年~2003年)。オルガンとリュートが加わる。1995年8月にスイスで録音。
- 第7代コンサートマスター、アントニオ・アンセルミ(2003年~2019年7月)。2012年1月、ローマのForum Music Villageで録音。
そして、今回が第8代コンサートマスターのマルコ・フィオリーニ。2021年4月に、ローマのサン・ロレンツォ・ダ・ブリンディジで録音された。
フェリックス・アーヨのステレオ録音版もe-onkyo musicで入手できるので、「春」の第1楽章を聴き比べてみた。アーヨ版では、ゆったりとレガートに、滑らかに、そして優雅に奏せられ、のどかな景色、陽光の暖かさ、爽やかなそよ風……という、春の潤いが語られる。
優しいアーヨ版に対し、最新のマルコ・フィオリーニ版は、ヴィヴットで現代的。軽やかに、弾みが愉しく、スキップするような春だ。楽器の音像がクリヤーで、音場も深い。旧作は横一例にならび、奥行きはあまりなかった。新作は弦の各パートとチェンバロが明瞭で、音の核もしっかりとしている。嵐の場面では効果音的な弦のバッセージも派手に。響きと楽器の鳴りが、最新録音だけあり、ひじょうにクリヤーに捉えられている。
FLAC:96kHz/24bit、MQA:96kHz/24bit
Decca Music Group Ltd.、e-onkyo music
2022/03/04
名ベーシスト、鈴木勲への追悼(2022年3月8日逝去)として、2015年に録音されたDSF 5.6MHz/1bitの名アルバムが再発。アコースティックのピッコロベース(通常のベースより1オクターブ上の音域)による、驚異的なフィンガー・ピッキングが聴き物だ。コントラバスではなく、チェロに細い弦を張り、4本のうち、3本はタブル弦にしている。プロデュースは国内ジャズシーンの生みの親、高和元彦氏。キングジャズ黄金期を支えた、二人の名手の作品だ。デジタルを毛嫌いしていた高和氏が初めてDSDを認めた記念的なアルバムでもある。
ベースがメインメロディを明瞭に弾くアルバムは希少だが、ここまで明解な音階感と抑揚、そしてクリヤーな伸びで弾かれると、お見事と言うしかない。単に低音的に深いだけでなく、幾重もの倍音が豊かな色彩感を与えている。量感だけでなく、繊細さも持ち合わせた名技が、DSF 5.6MHz/1bitのネイティブ録音で聴ける。それも低音だから、体感的に。
DSF:5.6MHz/1bit
キングレコード、e-onkyo music
2015/03/11
『Beethoven for Three: Symphonies Nos. 2 and 5』
Yo-Yo Ma、Leonidas Kavakos、Emanuel Ax
ベートーヴェンの交響曲のフルスコアをピアノ三重奏に編曲するとは凄いアイデアだ。でも19世紀のレコードがない時代には、家庭での演奏がその交響曲の「再生」であり、ピアノ三重奏版の交響曲も広く演奏されていたのである。
エマニュエル・アックス(ピアノ)、レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)、ヨーヨー・マ(チェロ)、という、当代の名人のベートーヴェントリオ演奏は曲の基本的な構造が明瞭に分かり、生命力に溢れた音進行により、その交響曲の魅力がまた新しい角度で識れる。
フェルディナント・リース編曲の第2交響曲・第1楽章のニ長調の躍動的な上昇音形の第2主題。ピアノでDのメジャー主題が奏され、次にその代理コードのBmの旋律が弦で奏される……という具合に、フェルディナント・リースも感動のツボを押さえ、いい仕事をしているる。編曲の面白さと、演奏の名人芸がダブルに楽しめた。音質もクリヤーで伸びがいい。2021年8月、ボストン・タングルウッドのセイジ・オザワ・ホールで録音。
FLAC:96kHz/24bit
Sony Classical、e-onkyo music
2022/03/04
幼き時から、JUJUが親しんてきたユーミン名曲と松任谷由実が書き下ろした新曲をコンパイルしたカバー集。名曲にはさまざまな角度から照明が当てられる。ユーミンの歌唱で耳に馴染んだ名曲たちにJUJUの名唱により、新しい魅力が与えられた。ベースのランニングの上に歌われる「2.守ってあげたい」はスピード感と現代的なキレ味が、「4.卒業写真」はブルース的なハーモニーの上にしっとりとした和風の味わいが、「13.ひこうき雲」はオリジナルと違うリズムで、より歌詞の意味合いが重く感じられる。録音、ミックス、マスタリングは、あのGoh Hotoda氏が担当している。
FLAC:96kHz/24bit
Sony Music Labels Inc.、e-onkyo music
2022/03/16
『Paris Bar - Françaix Tansman Lajtha』
Notos Quartett
2007年にベルリンで結成されたピアノ四重奏団、ノトス・カルテット。ギリシャ神話の「ノトス=南風(太陽神の先駆けとなって大空をはせる女神)」から名前を戴いた、人気カルテットだ。『Paris Bar - Francaix Tansman Lajtha』は、1920年代の創造的なパリに住んだ3人の作曲家、ジャン・フランセ、アレクサンドル・タンスマン、ラースロー・ライタの室内楽作品集。
ジャン・フランセの「1.Divertissement: I. Allegretto giocoso」は20年代のパリのエスプリを感じさせる、洒落た都会的なサウンド。ピアノが縦横に活躍し麗しさ、華麗さ、そしてヴィヴットな感情感がより色濃く伝わる。弦のチャーミングなフレーズがあちこちに散りばめられている。ラースロー・ライタ「11.Piano Quartet, Op. 6: I. Andante」の不安を呼ぶ、神秘の響きも時代性を感じさせる。2021年2月16-19日、ライプツィヒ、中部ドイツ放送のオーケストラルザールでの録音。広い会場の深い響きがそのまま収録され、美的な響きが音楽をきれいに修飾している。
FLAC:48kHz/24bit
Sony Classical/Sony Music、e-onkyo music
2022/03/25
大瀧詠一の初ハイレゾ。72年のファースト・アルバム『大瀧詠一』はナイアガラ・サウンドの原点だ。その後、ナイアガラレーベルを立ち上げ、日本コロムビアからソニーミュージックへ転籍し、81年に「ロングバケイション」を放ち、ポップスの巨匠へと進化した。本アルバムでは後年のナイアガラ的な音楽性が早くも豊富に聴ける。「1.おもい」のビーチボーイズのような複雑ハーモニーがハイレゾにてクリヤーだ。「2.それはぼくぢゃないよ」の南カルフォルニア的な、「11.恋の汽車ポッポ」の60年代ポップス的なサウンドも素敵。
FLAC:192kHz/24bit、WAV:192kHz/24bit
DSF:11.2MHz/1bit
Bellwood Records、e-onkyo music
2022/03/21
あの大巨匠ダニエル・バレンボイムがシューベルト、シューマン、ショパンなどのピアノ発表会ピースを弾いてくれた。
「1.アンプロンプチュOp. 90, D. 899 - 第3番変イ長調」は滋味に溢れたシューベルトだ。冒頭の右手のゆったりとし感情が色濃い旋律、それを支える繊細なアルベジオ、低音音符の雄渾さ……を聴けば、いかにバレンボイムが、シューベルトに対して愛情を注いでいるかが、一聴瞭然。たゆたうような美しい旋律の流れ。変イ長調ならではの愛情感、幸福感が麗しく伝わってくる。 「2.楽興の時」の深い感情を想い、シューマン「3.トロイメライ」の何気ないフレーズに込められた意味を感じ、ドビュシー「16.月の光」では月の輝きに無限のグラテーションを観る。巨匠は小品でも手を抜かないぞ……という宣言するようなピース集だ。せっかくだから、96kHz/24bitで聴きたかった。2017年、2020年4月、ベルリンのピエール・ブーレーズ・ザール、テルデックス・スタジオで録音。
FLAC:48kHz/24bit、MQA:48kHz/24bit
Deutsche Grammophone(DG)、e-onkyo music
2022/03/25
『Sibelius』
Oslo Philharmonic Orchestra、Klaus Mäkelä
フィンランドは世界的な指揮者輩出国だ。エサ=ペッカ・サロネン、ミッコ・フランク、サカリ・オラモ、スザンナ・マルッキ、オスモ・ヴァンスカ、ハンヌ・リントゥ、ピエタリ・インキネン、サントゥ=マティアス・ロウヴァリ……と、世界で活躍するフィンランド出身指揮者は枚挙に暇が無い。
本アルバムの1996年生まれのクラウス・マケラは2022/2023年シーズンからパリ管弦楽団音楽監督に就任。フィンランド超期待の若手指揮者だ。オスロ・フィルハーモニー管弦楽団を振ったシベリウスの交響曲全集(第1-7番)と未完の第8番の楽章、最後の交響詩「タピオラ」という陣容だ。
交響曲第2番。第1楽章冒頭のニ長調和音の上行旋律から、新鮮でヴィヴットなシベリウスが聴ける。弦の歌わせ方、低減のピッチカートの歯切れ感、トゥッティのクリヤーで伸びやかな響き……と、この指揮者はただものではないとの感慨を抱かせてくれる。第4楽章の英雄的な凱旋や息の長い熱きクレッシェンドや、低弦アルペジォと木管の対比と融合に昂奮だ。音質も透明度が高く、オーケストラの隅々にまで、描写の照明が的確に当てられている。2021年3月、5月に録音。
FLAC:96kHz/24bit、MQA:96kHz/24bit
Decca Music Group Ltd.、e-onkyo music
2022/03/25
『AKINA EAST LIVE INDEX-ⅩⅩIII <2022ラッカーマスターサウンド>』
中森明菜
ミキサーズラボの話題の「ラッカーマスターサウンド」第2弾だ。アナログレコードの原盤ラッカー盤にカッティングし、カートリッジで再生した音を、デジタル化した音源である。第1弾は中森明菜のライブ音源だったが、2度目も同様。第1弾は「Listen to Me -1991.7.27-28 幕張メッセ Live <2021 Lacquer Master Sound」、今回は1989年4月29日&4月30日によみうりランドEASTで行ったスペシャル・ライヴ「AKINA INDEX-XXⅢ The 8th Anniversary」だ。
実はこのライブは私に取っても懐かしいもので、当時、AVフロントという共同通信社の雑誌に寄稿した。懐かしいので、全文採録しよう(89年の原稿)。
もうすでに大ヒットを記録しているレーザーディスク作品である。衝撃の自殺未遂事件で中森明菜が活動を停止していた時、本人の代わりにファンの前にお目見えしたのがこのディスクで、その評判に違わず素晴らしい内容である。明菜の歌の巧みさ、表現力の豊富さは驚くべきもので、これだけの実力の歌手を死なせてはならない、と思った。
さて、私が注目したのはそのカメラワークと画質である。アイドル系の歌手のライブでは、カメラの数で勝負し、頻繁なシーンチェンジが常だが、本ディスクの映像はむしろ、明菜の歌をじっくり聴かそうという意識が見える。ほとんどアップの連続で、多彩な表情が見て取れる。デビュー時のふっくらとした頬がこけ、痛々しくもセクシーになったなという印象である。
映像は陰影に富み、コントラストを強調せず、粒子が極めて細かい。滑らかな質感でしっとりとしたもの。まさに内容にあった映像キャラクターではなかろうか。常識を逸脱した極めてユニークな、しかもひじょうに説得力のある映像世界に感動した。
アイドル系の歌手のライブの定石として、ハイコントラストで力強い、いかにもテレビ的な画調--もちろんVTR収録--で、音きっかけ(フレーズの変化にしたがって)によるスイッチング(画面切り替え操作)を多用し、派手な動きで写す……というやり方が常識になっている。
しかし、この作品は常識外である。まず画調はフィルム撮りのそれである。VTR撮りの、あのあっけらかんとした明るさは、本作品には、ない。そうではなく、いかにもフィルム調の陰影に富み、黒白を強調せず、極めて細かな粒子で、じつに滑らかな質感を醸し出している。場面切り替えのタイミングも、音楽とは関係なく、ひたすら明菜のいい表情をアップで狙っている。そんな風変りなアイドル系歌手のライブは初めてある。
しかもその映像が、彼女の歌の世界に実にフィットしているのである。明菜の歌の巧みさ、表現力の豊富さは驚くべきもので、その内容と、いかにもアナログっぽい画調が合致して、並のライブものとは違った感動を与えてくれる。あまりにユニークな絵なので、ディレクターの河合敏彦さんに、この作品づくりの話を聞きたくなった。
河合さんはCM制作が本職で、カルピスの「オリゴCC」や三菱自動車の「ギャラン」などのテレビCFや、小泉今日子のプロモーションビデオなどを手掛けている。
その河合さん、開口一番、「中森明菜という人間を撮りたかったんですよ」と言った。「明菜は、歌で演技できる唯一の歌手です。私は彼女のドキュメンタリーが撮りたかったんです」。
河合さんが最も重視したのが現場感覚で、事前の計算やドラマツルギーを超えたフォトセッション(カメラマンと被写体の交流)の醍醐味を狙ったのだという。河合さんの方法論で、独自なのはスイッチングを拒否したことだろう。マルチカメラ収録では、スイッチングは当たり前の方法だが、なぜか。
「スイッチングはその場にいない監督が、絶大な権力をもって、絵を選択することでしょ。じゃあ現場のカメラマンはどうなの?現場を一番知っているのは、撮っているカメラマンですよ。だから、私は、現場の意思を最大限に尊重したいんです。私がカメラマンにあらかじめ言っておいたのは『絶対に逃げないで』ということだけです。曲が終わっても、いい表情だったら、それをとことん追いかけて欲しい、と」。
現場ではスイッチングは行わずに、すべてのカメラをパラ録りにして、あとで編集してつなげる。編集時には、テープでのライブ音とフィルム映像を同時に再生し、その時々で「一番強い」(つまり、いちばんよく明菜の表情をとらえている)カットをだけを選び、つないでいく。リズムは無視。絵の力だけに着目して、アセンブルしていくのである。それが、つまりその場の状況を最も雄弁に語る映像であり、だから作品としての映像の印象が強くなるのも、いわば当然なのである。
この作品では音をきっかけとせずに画面が転換するが、それは意図したこと。例えば、B面11曲目の「セカンド・ラブ」で、明菜の目のしばたきが急に増えた。するとカメラは、画面一杯に右目を超クローズアップさせる。目には涙が溜まり、思わずこぼれ落ちそうになる。そんな情景をカメラはしっかりととらえる。
「それはきっとカメラマンが、涙を見たかったんでしょうね。客席からはそこまでは見えません。でも、明菜のファンだったら、その涙はぜひ見たいはずです」。
あらかじめ計算していたら、そんな場面は撮れないだろう。あえて記録媒体をフィルム主体にしたのも、そうした理由から。スイッチングの環境に慣れてしまっているビデオのカメラマンと異なり、フィルムのカメラマンは自分なりの狙いを持ち、それにこだわる。だからその”狙い”を尊重したのである。例えばステージ右側から明菜を狙ったカメラマンはコダックを使った。コクのある色が得られるというのが、その理由だ。時折、夕日をバックにした艶っぽい横顔が写るが、それはコダックの絵である。
特にB面10曲めの「トワイライト」から「セカンドラブ」、そして「スローモーション」に至るメドレーの画質はまさに絶品である。微粒子で、狭い輝度Dレンジの中の緻密な映画的な世界。それは強烈の意思の所産であり、アイドル系のライブ作品に新しい地平を拓くものであろう。
音質も屋外収録としては、たいへんクリヤーで、情報量も多い。もとのクオリティが高く、ドルビー・プロロジック再生しても、音質劣化は少ない。
では現代に戻って、第1弾は「Listen to Me -1991.7.27-28 幕張メッセ Live <2021 Lacquer Master Sound」と第2弾の「スペシャル・ライヴ AKINA INDEX-XXⅢ The 8th Annivers」を比較してみよう。曲は「スローモーション」。
第1弾は質感が高く、ヴォーカルが深く、音像も確実。楽器の配置のバランスがよく、打楽器が目立つが、弦も存在を聴かせる。ポイントは解像感というより、バランスだ。では今回のラッカーマスターサウンドはどうか。キーワードは解像感。ピアノのイントロが明瞭で、空気感も澄んでいる。トゥッティでは、量感がマッシブでディテールまでクリヤーだ。ピアノの和音が立つ。打楽器もヴォーカルも、明確で、ニュアンスも豊富。たとえると91年のラッカーマスターサウンドはアナログ的で、今回の89年のものはデジタル的なくっきりさが特徴だ。
FLAC:96kHz/24bit、MQA Studio:96kHz/24bit
WM Japan、e-onkyo music
2022/03/16
イギリスの注目の若手、1996年生まれのマーティン・ジェームス・バートレット(Martin James Bartlett)の新アルバムだ。アルバムの前半はラフマニノフの晩年の傑作、「パガニーニの主題による狂詩曲」。新鮮なパガニーニ・バリエーションだ。音が躍動し、ヴィヴットな音の塊が、音場空間を飛翔する第18変奏の優雅で、伸びやか、そして美的な感情は、このピアニストの表現力の多彩さを物語る。
後半はラフマニノフとガーシュウィンを中心としたソロの作品集。「32.Gershwin Songbook: No. 5, I Got Rhythm」のリズムのシャープなキレ味、「 29.Gershwin Songbook: No. 8, The Man I Love」のしっとりとした味わい「30.7 Virtuoso Etudes After Gershwin: No. 7, Fascinating Rhythm」の超絶的なしゃれっけ、「35.Rhapsody in Blue」の洒脱で快感的なピアニズム。浮き立つような華やかなリズム感……。素敵なコンピレーションだ。2020年8月、ロンドンはSt Jude’s教会で録音。
FLAC:192kHz/24bit、MQA Studio:192kHz/24bit
Warner Classics 、e-onkyo music
2022/03/04
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