サムスン電子が日本で発売した「Galaxy M23 5G」はキャリアを介さないSIMフリーモデルとして単体で販売されました。日本初上陸となる「Galaxy M」シリーズはオンライン販売向けのモデルとして海外でも多くの国で販売されています。日本に投入されたモデルはFeliCa非搭載、防水非対応ですが、これはグローバルモデルも同等です。海外販売品をほぼそのままの形で日本市場に投入することで、価格も約4万円と低めに抑えています。
5G NRの対応周波数の差はあるものの、グローバル版をそのまま持ってくることで迅速に日本に投入するという動きはシャオミの一部モデルでもあります。Galaxy M23 5Gも海外ではまだ発売された国は少なく、日本は世界でも真っ先に投入された市場になっているのです。またサムスンも日本で初めて投入するSIMフリーモデルということもあり、価格と性能バランス、投入タイミングを考え「Galaxy M23 5Gをそのまま日本に投入がベスト」と考えたのでしょう。
海外ですでに販売されているGalaxy M23 5Gを見てみると、日本にはないモデルが存在しています。それは本体のカラバリ。日本ではディープグリーン、ライトブルーの2色展開ですが、海外ではオレンジカッパーを加えた3色展開になっています。オレンジカッパーは名前の通りオレンジとカッパーを合わせた色合いで、名前から想像するよりも派手ではなく、春らしい明るい色合いになっています。このカラーはもし日本でGalaxy M23 5Gの販売が好調となれば、後から追加してほしいものです。
またインドではGalaxy M23 5Gの兄弟モデルとして「Galaxy F23」が販売されています。Galaxy Mシリーズは主にアマゾンなどで販売されるオンライン向けモデルですが、Galaxy Fシリーズは同じくオンライン販売品で、インドの最大手EC「Flipkart」で販売されます。あえてオンライン向けに別のシリーズを投入するほどインド市場は大きいということなのでしょう。とはいえGalaxy Mシリーズに加えGalaxy Fシリーズまで別の製品を開発するのはコストが高くなってしまいますから、両モデルはほぼ同じスペックの製品となっています。
Galaxy F23の基本スペックはGalaxy M23 5Gと同等で、6.6型ディスプレーにSnapdragon 750 5G、5000万画素+800万画素+200万画素カメラ、5000mAhバッテリーなどは変わりません。メモリー構成は4GB+128GBモデルを加えることで15999ルピー(約2万7000円)と最低価格を引き下げています。
ところがこのGalaxy F23は、Galaxy M23 5Gと本体仕上げが異なる部分があります。それはディスプレーがGorilla Glrass 5で覆われているのです。おそらくインドではスマートフォンがより強固である必要があり、また保護フィルムを購入して張り付けることを面倒と考えるユーザーが多いのかもしれません。フィルムなしでも傷がつきにくいディスプレー、というのは差別化にもつながります。Galaxy M23 5Gもこれは同じ仕様にしてほしかったと思うところです。とはいえ日本のような先進国であれば、結局は「安心のため」保護フィルムやガラスを貼り付けるユーザーが多いのが実情でしょう。
中国メーカーがSIMフリーモデルを日本に着々と投入する中で、ようやくその市場に参入したサムスン。Galaxy M23 5Gの売れ行きがよければ、今後もGalaxyシリーズ、特に上位のモデルが投入される可能性が高まります。果たして日本でどれくらい売れるのか、動向を見守りたいものです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この連載の記事
-
第678回
スマホ
シャオミストアが日本上陸!? 期間限定ポップアップスペースにさっそく行った -
第677回
スマホ
シャオミのカメラフォン「Xiaomi 13T」をデジカメ風にするグリップキットを試す -
第676回
スマホ
使いやすくなったスマートタグ「Galaxy SmartTag2」のケースを探せ! -
第675回
スマホ
「HUAWEI Mate 60」人気でファーウェイのスマホがじわりと復活の兆し -
第674回
スマホ
2024年モデルとなるGalaxy Aシリーズ「Galaxy A05」が海外で登場 -
第673回
スマホ
NIO Phoneを生み出した中国の自動車メーカー「NIO」のEVに迫る -
第672回
スマホ
20年の時代を経て名機を復活させたサムスン「Galaxy Z Flip5 Retro」 -
第671回
スマホ
限定版折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip5 Beyond Limits Edition」をドバイで発見 -
第670回
スマホ
「meen M60」は設計から製造までマレーシアの新規5Gスマホ -
第669回
スマホ
中国オンリーの高級折りたたみスマホ、サムスン「心系天下W24」に思わずウットリ -
第668回
スマホ
Galaxy Z Fold5で書き心地の良いペンを使って手書きしたい! - この連載の一覧へ