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RE100ソリューション「H2 KIBOU FIELD」稼働開始:

パナソニック、水素と太陽光だけで工場の電力まかなう挑戦

2022年04月21日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● ASCII.jp

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課題はコストやルール作り

 パナソニックでは2023年度から、こうしたRE100ソリューションの実用化・本格導入を開始します。国内ではパナソニックグループの工場を始め、店舗や自治体、物流拠点など様々な事業者に提供予定ということ。世界展開も視野に、具体的には欧州や中国を当初の対象にするということでした。

 ただ、今後の普及にあたっては課題もあります。ひとつはコストです。

 ロードマップ上、2030年の水素価格は30円/Nm3ですが、現在の国内ステーションにおける水素価格は100円/Nm3程度。パナソニックでは水素ガスの使用効率を上げ、いわばシステムの燃費をよくすることでコストを下げていきたい考えです。また現在、ソリューション全体にかかるコストは十数億円規模ですが、同社では今後これを数億円程度まで下げていきたいと話していました。

 もうひとつの課題は水素の製造方法です。

 いまパナソニックが岩谷産業から調達している水素は化石燃料をベースとした「グレー水素」。今後は水素を作るところまで再エネを使う「グリーン水素」の活用も視野に入れていきますが、日本では政府と企業が一体になってグリーン化を進めることが重要ではないかという話も出ていました。

 また、取り組みに前例がないため、ルール作りも課題です。消防法の視点ではどの法律にしたがうべきか、発電時に発生する水はどう処理をすればいいのかといった細かいルール作りが自治体と進んでいるということでした。

 これらの課題に加え、そもそもシステムを安定的に稼働させてRE100を達成するという大きな課題が待っています。担当者はシステムの性能を向上させて、いかに発電ロスを減らすかを検証したいと話していました。

災害大国・日本の“希望”に?

 水素燃料電池を鍵としたRE100ソリューション。今後、国内で期待されるのは災害への備えとしての活用です。記憶に新しいのは今年3月の電力需給ひっ迫問題。地域で地産地消の電力ができれば、いざ系統からの電力がなくなったときにも地域だけで非常時の対応ができるようになります。

 各地の工場が再エネだけで稼働し、全国に非常用の再エネ発電施設が立ち並ぶ。そんな未来は果たしてやってくるのでしょうか。H2 KIBOU FIELDが文字通りの“希望”になるかどうか、パナソニックの挑戦の行方に注目です。

   

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