どの周波数帯に対応するかはメーカーの判断
2022年4月11日に開催された有識者会議では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの担当者にヒアリングが行なわれたが、4社ともに「キャリアからメーカーに他キャリアの周波数帯に対応しないよう指示を出すなんてしていない。どの周波数帯に対応するかはメーカーの判断だ」と、総務省の見方を真っ向から否定した。
素人考えだと「そんなの、すべての周波数帯に対応すればいいじゃないか」と簡単に思いがちだが、実際にはハードルがかなり高いようだ。
KDDIからは「各社の主要な周波数帯に対応すると、ユーザーの利便性は上がるが、コスト増になる可能性がある。部材コスト、評価コスト、技適申請手続きにかかるコストがかかるため、ユーザーへの提供価格に影響を及ぼす」という指摘があった。
では、実際にどうなのか。
Androidの周波数対応はコストが合わない
この手のキャリアが絡む質問をメーカーの人にする際は、新製品発表会の質疑応答や囲み取材だと、担当者がしどろもどろになったり、キチンとした回答が得られないケースがある。新製品発表会が終了し、担当者の緊張感が解けているぐらいのタイミングで、周りに人が居ないような陰で、コソコソっと立ち話で聞くのが望ましい。
半年ぐらい前、あるメーカー担当者に「すべての周波数に対応するのは難しいのか」とコソッと聞き出したところ「やっぱりコストが上がるので無理な話だ」という回答であった。KDDIが指摘する通り、部材コスト、評価コスト、技適申請コストがかかるため、現実的ではないというのだ。
一方で、iPhoneはすべてのキャリアのほとんどの周波数帯に対応している。なぜ、iPhoneができて、Androidはできないのか。
メーカー担当者によれば「製造する台数が圧倒的に違う。国内のキャリアに納めるAndroidスマートフォンは生産台数が少ないので、部材や評価、技適申請のコストを吸収できず、価格を上げざるをえない。一方、iPhoneは国内での流通量も多いし、グローバルでの生産台数も圧倒的に多い。幅広い周波数帯に対応した方が多くの国で売れるので、できるだけ対応周波数を増やすという考え方になるのだろう」とのことだった。

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