位置情報ビッグデータが解決する地域課題

「おおいたノースエリア観光推進協議会」実証実験報告会

ビッグデータ分析から見えた「回遊しない観光客」の傾向──大分北部3市が進めるデータを元にした観光施策とは

文●森嶋良子 編集●ASCII STARTUP編集部

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観光モデルコース活用の現状を知る

 課題解決に向けては、以下3つの分析・取り組みを行った。

 1つ目は「いまを知る」。市や観光組合では、観光地を数か所めぐる観光モデルコースをパンフレットやWebサイトで提案している。そのコースに沿った行動を取っている人がどれくらいいるのか、現状を分析した。結果わかったことは、モデルコースの通りに観光ルートをたどった人は少ないということで、複数の観光地を巡らず1か所しか訪れない人も多い。ただし、これは全国的に同様の傾向が見られ、大分北部に限った問題ではない。

モデルコースに含まれる複数地点を同一ユーザーが訪れたかどうかを分析したところ、多くの人が訪れていないことがわかったことから、モデルコースの利用者が少ないことがわかる

 結果を踏まえて、新たなモデルコースを作成した。利用者の多い自動車利用が前提であること、集客力が大きい観光地を中心とし、観光客の好みで1か所を追加できるようにすること、来訪者が多い地域からのタイムスケジュールを記載することなどを盛り込んで、全12パターンを作成した。

分析結果を反映させ、新たな観光モデルコース案を作成した

QRコードによる誘導実験の結果を測る

 2つ目は「滞在を伸ばす」。観光客に滞在を伸ばしてもらうために、QRコードを利用した試みを実施した。おすすめの観光地を紹介するWebページを作成し、飲食店に設置したQRコードから読み込んでもらうことで、次の施設誘導につなげようという取り組みだ。施策の実施前後の来訪者データを比較し、行動に変化があったかどうかを分析したところ、3か所の施設に増加傾向が見られた。増加した施設に共通していたのは、QRコード読み込み地から比較的近い箇所にあるということだった。

 距離を考慮した誘導先の設定や、QRコード読み込みへの特典付与、観光施設でのQRコード設置などの改善を行うことで、より効果が期待できると考えられるという。

飲食店の座席にQRコードを設置して「おすすめの次の観光地」を表示することで、観光客の行動変容を図る施策を実施した

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