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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第315回

アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問

2022年04月05日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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Macラインアップの不完全さ

 今回、アップルはMac Studioと27インチの5K Studio Display(詳細は別の記事で)を同時に発表しました。これらの製品は、今現在iMac 27インチ、iMac Pro、Mac Proの一部のユーザーの乗り換え先として最適であるとの位置づけです。

 その一方で、前述のユーザーは、iMac 24インチ、MacBook ProとStudio Displayの組み合わせ、Mac miniとStudio Displayの組み合わせも、IntelからApple Siliconへの移行方法の候補であるとしています。

 ここで分かることは、27インチの一体型製品を出すつもりはもうないということ。なので早々に、Studio Display(もしくはより安価なサードパーティのディスプレー)と、他のMacとの組み合わせに移行した方が良いとおすすめしているのです。

 Mac StudioとStudio Displayの組み合わせは、確かにコンパクトなデスクトップを実現できます。ディスプレーのスタンドのすぐ脇、ちょうどスクリーンの下にMac Studioが収まる高さで、奥行き40cm、横幅63.2cmという非常に狭いスペースにも、キーボードとマウスやトラックパッドを用いたフルセットで設置できます。

 しかし面白いことに、Mac Studioを含む移行先のリストで、性能的には中間に位置するはずのM1 Proの選択肢は、MacBook ProとStudio Displayの組み合わせ以外に用意されていないのです。それ以外はM1かM1 Maxしか選ぶことができません。

 たとえばM1 Proを搭載するiMac 24インチやMac miniが登場するなら、性能とコストで選択肢の幅が拡がります。メディアエンジンを駆使した動画編集をしたいけど、M1 Maxより性能もコストも抑えたいという人は、M1 Proを搭載するMacBook Proしか選択できず、ディスプレーが不要な人は余ってしまいます。

 せめてM1 Pro搭載のMac miniがあるとより分かりやすいのですが…。

 ついでに言うと、24インチiMacも同様で、M1 Pro搭載モデルがあった方がしっくりきます。せっかく4.5Kのビデオ編集にも扱いやすい解像度を持っていながら、M1しか用意されないというのは、もったいないと感じてしまいます。

(続く)

 

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。モバイルとソーシャルにテクノロジー、ライフスタイル、イノベーションについて取材活動を展開。2011年より8年間、米国カリフォルニア州バークレーに住み、シリコンバレー、サンフランシスコのテックシーンを直接取材。帰国後、情報経営イノベーション専門職大学(iU)専任教員として教鞭を執る。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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