最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第31回
圧倒的高性能で静かなMac StudioとStudio Displayを試す【西田 宗千佳】
2022年03月17日 22時00分更新
Mac StudioとStudio Displayのレビューをお届けする。同時に発表され、デザイン的にも「いかにもセット」という印象を受けるが、その特質は必ずしも同じではない。セットで使うのがふさわしいとは思うが、実はちょっとベクトルが違う製品にも感じる。それぞれを使った印象などを述べていきたい。
コア数は速さ。圧倒的な性能差
まずはMac Studioから。Mac Studioの特徴は、なんと言っても「パワー」だ。特に、最上位機種の「M1 Ultra」搭載モデルがどこまでのパフォーマンスを出せるのか、気になっている人もいるのではないだろうか。
今回貸し出された評価機材は、M1 Ultraの中でもGPUが64コアで、メモリーが128GBの「特盛」といえるモデルだ。ストレージも2TBあり、これだけで販売価格は74万1800円になる。しのごのいう前に、結果として各種ベンチマークの値を示してしまおう。
今回テストのために、機材をほかに3つ用意した。M1搭載のMacBook Pro(2020年モデル)とM1 Pro搭載の14インチMacBook Pro(2021年モデル)、そして、ゲーミングPCとしてASUSの「ROG Zephyrus G14」(2021年モデル)だ。ROG Zephyrus G14のCPUはAMD Ryzen 9 5900HS、GPUはNVIDIA GeForce RTX 3060 Max-Qを搭載している。ディスクリートGPU搭載のPCとして今回は比較対象に用意している。便宜上、ROG Zephyrus G14を以下「ゲーミングPC」と呼称している。
ベンチマークは、最後に実施した動画編集系を除き、すべてマルチプラットフォームのものを選んでいる。まずは「Geekbench 5」のCPUテストから。この結果はわかりやすい。CPUのコア数がそのまま速度に反映されていて、20コアのMac Studioがダントツだ。
もうちょっと機能特化のベンチマークとして「Cinebench R23」もやってみた。これはCG演算の速度を測るもので、主にCPUに依存している。こちらも、傾向としてはGeekbench 5と同じである。1コアの性能差はあっても、結局コア数がものをいう感じになっている。
おもしろいのは、Cinebench R23の結果を見る限り、マルチコアCPU性能では、もはやM1 Ultraの上には32コアの「Ryzen Threadripper 2990WX」や24コアの「Xeon W-3265M」しかいない、という点だ。ここでも結局は「コア数」が問題になっている。M1 Ultraはこれらのハイエンドプロセッサー並みの存在、と言えるのだろう。
GPUはどうだろう? Geekbench 5のテストでは、意外なことにRTX 3060搭載のゲーミングPCに負けている。とはいえ、これはMacが得意とするMetalではなくOpenCLでのテスト結果だから、という部分もあるかもしれない。
そこで、別のテストとして、「3DMark Wild Life Extreme」を使った。3Dベンチマークの定番・3DMarkの中でも、スマホからPCまでをカバーするもの。中でも「Extreme」はハイエンド向けだ。これを「Unlimited」モードで使う。
結果は以下の通り。スコア・フレームレートの両方で、Mac Studioが圧倒している。おそらくだが、単に最適化の問題だけでなく、ユニファイドメモリーとして広大な領域を使えることがプラスに働いているのではないだろうか。
じゃあ、実務ではどうか? こちらはMacだけでのテストになるが、アップルのビデオ編集ソフト「Final Cut Pro」を使い、4K/HDR撮影したビデオに手ぶれ補正やグレーディング、編集作業を加え、2分51秒の映像にしたものを、4K・H.264のファイルとして書き出すまでの時間を計測している。
結果はやはり、M1 Ultraのパフォーマンスが光る。そこそこ重いタスクであることもあり、M1とM1 Proの間ではそんなに差が出ないのだが、M1 Ultraは、さすがに速く、M1での作業の半分くらいで終了している。
ベンチマークのようにM1の4倍、5倍といった性能が出るシーンばかりではないだろうが、確実に「今のどのMacよりも、大半のWindows PCよりも速く」動作するのは間違いない。
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