「バスタプロジェクト」は新しい道路とともにある
── バスタっていうのは「バスタ新宿」のあれですよね。新宿しか知らないんですが、そもそもバスタって何なんですかね?
溝口 交通をネットワークするためのこうした拠点を全国あちこちに作り、それを電車だけでないさまざまな交通でつなげていこうというのがバスタプロジェクトですね。集約交通ターミナルのマルチモードバスタがバスタ新宿だとしたら、ハイウェイバスタとして高速のSAやPAを活用したところがあり、地域にはさらに小さい拠点があり、というイメージです。
── 新宿みたいに鉄道の駅にくっつくことになるんですかね?
溝口 点在したバス停を集約して、鉄道との交通結節点を整備する。国土交通省が推進するバスタプロジェクトの見える化を豊洲で挑戦したわけです。
── 鉄道と道路交通をつなぐことで、必要十分な公共交通を整備する……。
溝口 「バス以上、電車未満」の輸送量を確保して、渋滞させずスムーズに運行するには何が必要かというシミュレーションもして行政に提案しました。たとえばバスが左車線から右折車線に車線を変える時に渋滞が発生します。熊本ではバスが、左車線から右折できるバス専用信号を設けているんです。また、バス停長の確保が必要。バスの輸送量は130〜140人程度なので、運行本数の確保が必要になり、たとえば3台同時に乗り降りできるような長いバス停が必要になる。あとはPTPS(公共車両優先システム)といい、公共交通が来ると信号を調整する仕組みもあります。信号がBRTを感知して青信号の信号長を伸ばすとか。道路側とモビリティをつなぐ仕組みがないと、十分な輸送量を確保できないんですよね。
── 建設計画と同時に、実際の道路にはこういうものがないといけないということが議論されていると。
溝口 道路交通の運営の仕方とかバス停を変えるだけでも、ある程度十分な輸送量は確保できるわけですね。ただ、それにはまちとモビリティがつながらないといけない。その交通結節点整備を官民で推進しようという流れが起きていると考えています。
── 「まち」とモビリティがつながるのがバスタプロジェクトの1つの見方といえますね。これからの公共交通を考えるなら道路を考えないといけない。
溝口 たとえば、地方路線の赤字化が問題になっています。その代替交通としてBRT等の活用が検討されている。JR西日本は輸送量が1時間あたり2000人を下回る路線は廃線を検討すると発表しました。地方の廃線路線を専用レーンにして、バスを自動運転で隊列走行させる事が現実味を帯びてくるかもしれません。新しい公共交通がそういう世界をめざしていくとなると、それにあわせてまちづくりも変わっていく。そこで都市部の拠点として作られたのが都市型道の駅、ということになるわけです。
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