みなさんこんにちは。これまで新横浜ラーメン博物館のウラ話として、5回にわたり「ラー博の何故?」と題して、多くの方々からご質問をいただく何故?について連載させていただきました。
今回から始まる新しい連載は2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していきたいと思います。
開業前後に関しては前回の連載でお話させていただきましたので、初回は1996年3月からスタートした「新横浜着全国ラーメン紀行プロジェクト」からお話をさせていただきます。
前回の記事はこちら
【連載】ラー博の何故? 第5話~ どのようにお店が入れ替わるのか?
過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話
1994年の開業後、3年間は右肩下がりで入場者が落ち込みました。もちろんオープン景気もあるため、ある程度は想定しておりましたが、3年後には年間40万人(155万人→115万人)まで落ち込みました。
そんな中、1996年に喜多方「大安食堂」が卒業する事となりました。この時私たちは、まだ知られざるご当地ラーメンを紹介するという原点に立ち返り、さらにレギュラー店以外に期間限定店を設けて、より活発なサイクルで多くのお店を紹介出来ないかとの思いから「新横浜着 全国 ラーメン紀行」プロジェクトを立ち上げました。ラー博史上最初のラーメン店の入れ替えであり、期間限定店の誕生となりました。
このプロジェクトはご当地ラーメンを中心に、3周年企画やラーメン登竜門などの特別編も含め、およそ6年の間に8店舗のラーメン店が出店を果たしました。
第1弾 札幌「爐」 1996年3月20日~1996年9月30日
第2弾 飛騨高山「やよいそば」 1996年10月5日~1997年3月15日
第3弾 3周年企画特別編 幻のラーメン「匠」 1997年3月20日~1997年9月20日
第4弾 旭川「青葉」 1997年10月9日~1998年9月27日
第5弾 和歌山「井出商店」 1998年10月1日~1999年5月30日
第6弾 特別編 ラーメン登竜門「あまからや」 1999年6月3日~1999年8月29日
第7弾 徳島「いのたに」 1999年9月4日~2000年5月28日
第8弾 函館「マメさん」 2000年6月6日~2001年2月25日
プロジェクトを進めていくうえで、当時「ご当地ラーメン」という言葉や意味自体が浸透しておりませんでした。そのため最初は苦労しましたが、それでも地道にご当地ラーメンの普及活動を行いました。
そんな中、転機となったのが「インターネットの普及」でした。それまで全国にさまざまな地域性のあるラーメン=ご当地ラーメンが存在することすら知られていなかったのですが、1996年頃から、徐々に普及の兆しを見せ始めていたインターネット上にラーメン好きたちが主宰するホームページが登場し、その掲示板上でラーメン好きたちが活発な情報交換をするようになってきたのです。第4弾の旭川ラーメンは当時注目のご当地ラーメンと言われ、多くのメディアでご当地ラーメン特集が組まれ、この頃から徐々に来場者が増えていきました。そして第5弾 和歌山「井出商店」では、出店期間中(238日間)一度も列が切れることなく、最長待ち時間は210分という大ブレークとなり、1999年はオープン当初の入場者数を回復するまでとなりました。それぞれの出店にはさまざまなドラマがありますので、今後のコラムでご紹介できればと思っております。
このご当地ラーメンは、自然発生的(町おこし的に作られたものではない)に誕生した食文化です。日本は縦長の島国で地域により、紀行・風土・食文化が大きく異なり、ラーメンほどさまざまなバリエーションが存在する食文化はないのではないかと思います。この「知られざる食文化」を紹介したことがブレークした要因だと思っております。
次号では出店期間中一度も列が切れることなく、最長待ち時間は210分という大ブレークを果たした和歌山「井出商店」についてお話しできればと思っております。
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