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アップル「M1 Ultra」がウルトラ変わってた理由とは!?【西田 宗千佳】

2022年03月10日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島恵里子

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たくみに用意された「M1 Max」とさらなるハイエンド計画

 M1 Ultraは、2つのプロセッサー(M1 Max)を使う、ということに変わりはない。だが、M1 Max自体がそもそも、「2つ組み合わせてパッケージにしたとき、1つのハイパフォーマンスなプロセッサーとして働く」よう設計されたものであるところがポイントだ。

M1 Maxの2つのダイを組み合わせるアーキテクチャの秘密こそ、M1戦略最大の秘密だった

 M1 Maxには、2つのM1 Maxをつなぐために「UltraFusion」という技術を使っている。ポイントは2.5TB/secと広帯域であること。そして、2つのM1 Maxが備えるそれぞれのCPUコア・GPUコアを透過的に扱って1つのプロセッサーに見えるようにするために、1つのM1 Max側から「両方のM1 Maxに搭載されているCPUコア・GPUコアを扱う」機能を持っている。

 この要素を活かすことで、M1 Ultraは「20のCPUコアと64のGPUコアを持つハイエンドプロセッサー」として機能する。つなぐための機能は全てのM1 Maxに搭載されているが、チップを1つしか使わない=M1 Maxとして使う時には利用しない。

 一見無駄なように見えるが、こうすることで「作るプロセッサーの種類」はM1・M1 Pro・M1 Maxに抑えつつ、M1 Maxを最大限に活用してハイエンドプロセッサーを作れる。

左から、M1・M1 Pro・M1 Max、そしてM1 Ultra。並べてみると、M1 Maxの活用がラインナップ構築のカギであるのが見えてくる

 当然ながら、アップルは最初のM1を作った段階でラインナップ構成を決めており、プロセッサー戦略もそこと一体で判断しているはずだ。

 まずM1 MaxをMacBook Proに使い、その後に「2つずつ」M1 Ultraとして使っているのも、MacにM1を使い、その後にiPad Pro、さらに今年iPad Airへと広げているのも、チップの生産量増加に伴う歩留まり改善やコスト低減といった部分を見据えた「段階的拡大」である、と見ることができる。

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