最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第18回
アップル「M1 Ultra」がウルトラ変わってた理由とは!?【西田 宗千佳】
2022年03月10日 12時00分更新
ディスプレイにまで「A13」を入れる徹底ぶり
このように、製品の投入計画とプロセッサーの投入・生産計画をマッチして進められるのが、今のアップルの強みと言える。
一方で、「ユニファイドメモリーで、ARMコアベースのM1」という基本形があり、その基本形から全てが始まっている、という点が1つの制約である。M1 Ultraはユニファイドメモリー構造であることで、「ビデオメモリーとして128GBの空間にアクセスできる」という、他のGPUにない利点を持っている。一方で、ゲームを含めたアプリケーション開発のノウハウという面で、NVIDIA・AMDのGPUが有利な部分も多々ある。
アップルがそうした部分のテコ入れをどうするのか、少々気になるところはあるが、一方で、「消費電力が低くとも性能が出る」という魅力で「Macに開発者を呼び込む」ことができるなら、それでいいのだろう。
要は、いかに「Macが魅力的になるか」がアップルの今の方針であり、そこで大胆な決断ができるのは、ハードからOSまで、全体を自社で見ているが故のことではある。
個人的に面白かったのは、ディスプレイ製品である「Studio Display」に、「A13 Bionic」を搭載してきたことだ。2019年に投入されたこのプロセッサーは、性能面ではいまだ一線級。縁の下の力持ちとしてディスプレイの中で動かすのはもったいないようにも思える。
だが、カメラやマイク、Thunderbolt 4インターフェースと、処理しなければいけない要素は増えており、高性能なチップがあれば、それに越したことはない。仮にA13が「用途にはオーバーキル」であっても、他社から新たに調達してソフトを書くより、「iPhoneのために大量調達した、中身のよくわかっているプロセッサー」を使う方が有利なところはあるのかもしれない。Apple WatchやHomePodをAシリーズの派生プロセッサーで作るのと同じ発想なのだ。
そんなことまで見えてくるのが、今回の発表の味わい深いところだったと思っている。
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