最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第18回
アップル「M1 Ultra」がウルトラ変わってた理由とは!?【西田 宗千佳】
2022年03月10日 12時00分更新
アップル春の新製品イベントは、年ごとにフォーカスされる製品が変わる。
2020年はLiDARを搭載した「iPad Pro」、2021年は「M1搭載iMac」と「ミニLED搭載iPad Pro」、というところだろうか。偶数年には「iPhone SE」も出ており、ユーザー数的にはこちらは一番の注目製品だろう。今年は「2022年」なので、予想通り第3世代iPhone SEが出た。
しかし、今年はなんといっても(特にASCII.jp読者的に言えば)「Mac Studio」と、その搭載プロセッサーである「M1 Ultra」に尽きるのではないだろうか。
アップルはやっぱり「半導体戦略」で回る
毎回のように、解説では「アップルは半導体戦略で回っている会社」と書いている。そして、M1 Ultraを見ると、アップルはまさに「半導体設計」に差別化戦略を賭けている、ということがよくわかる。
M1 Ultraは、シンプルに言えば「アップルとして作れる最大のSoCを2つ並べ、性能を稼いだもの」である。M1 Maxは大規模なプロセッサーであり、あそこからさらにコア数を増やした「超大型の1チップ」は作りづらい。
一方で、マルチプロセッサー構成は珍しいものでない。特にサーバーやハイエンド機ならなおさらだ。ただ、プロセッサーを増やせばリニアに性能が上がるわけでもない。「事情をわかった上でなお性能を求めて搭載する」場合がほとんどだろう。アップルの場合、Appleシリコンの開発戦略上、単純なマルチプロセッサー構成は採れなかったようだ。
理由のひとつが「ユニファイドメモリー」だ。
ユニファイドメモリーとは、メインメモリーとビデオメモリーを共有することでデータ転送を減らせる、という利点があり、パーツ点数削減にもつながる。
Appleシリコンでは高速なメインメモリーを使い、パフォーマンス面での優位性を打ち出す形で活用している。そのため、外付けGPUも採用していない。単純なマルチプロセッサーとしてM1を使った場合、せっかく「1つ」になっていたメモリーが分割され、データ転送が増えてしまう。
M1シリーズの強みを活かしつつ、M1 Maxより大きな半導体にしないという条件を守り、消費電力あたりの性能が下がらないようにするにはどうしたらいいのか? M1 Ultraはそうしたところから出てきたプロセッサーである。
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