元ウォーカー総編集長・玉置泰紀の「チャレンジャー・インタビュー」番外編
口から念仏が飛び出す「空也上人立像」を半世紀ぶりに間近で見る!
東京国立博物館は3月1日から、特別展「空也上人と六波羅蜜寺」を開催する。2022年は空也上人没後1050年に当たり、空也上人が京都東山の地に創建した六波羅蜜寺(創建時は西光寺と称した)には、念仏を唱える姿を可視化したかのような、現存最古の上人の像が伝えられている。六波羅蜜寺が創建されたのは、平安時代半ばの天暦5(951)年。当時、京都に流行り病が蔓延していて、空也上人は、疫病がおさまり世の中が穏やかになるように祈って、十一面観音菩薩立像を造像し、西光寺を創建。これが現在の六波羅蜜寺にあたる。第一章は、空也上人立像と、寺の創建時の持国天立像などが展示される。
六波羅は、京都の鴨川東岸、五条大路から七条大路にかけての一帯の地名で、西光寺を六波羅蜜寺と名前を改めたことから、地名になったという。院政期から、平家の拠点、六波羅館があり、平清盛も政治や軍事の拠点として活用した。平家が都落ちしてからは、この地は源頼朝に与えられ、承久の乱後は、鎌倉幕府の京都での出先機関である六波羅探題が置かれ、後に、足利尊氏に滅ぼされた。
六波羅蜜寺は、京都の三大葬地のひとつである鳥辺野の入口にあって、「あの世」と「この世」の境界に位置し、冥界に近い寺として知られ、第二章は、閻魔王坐像や、地蔵菩薩立像など、この独特の立地に由来するものが展示される。
今回の展覧会は、これら二章立てで、空也上人立像を中心に、本館特別5室を使い、六波羅蜜寺の創建時につくられた四天王立像、定朝作と伝えられる地蔵菩薩立像、伝平清盛坐像、閻魔王坐像、更には、偉大な仏師、伝運慶座像、伝湛慶座像など、平安から鎌倉時代の彫刻の名品、全17点(うち重要文化財10点)が一堂に集められた。また、本館11室の総合文化展、関連展示コーナーでも、長快作の重要文化財、弘法大師座像など六波羅蜜寺の5点が展示されている。
空也上人立像を360度から見る
空也上人立像が、六波羅蜜寺を出るのは50年ぶり。空也上人は平安時代の僧で、「市聖」「阿弥陀聖」と称され、「南無阿弥陀仏」と唱えて極楽往生を願う阿弥陀信奉をいち早く広めた。この立像は、死後200年ほど経ってから、鎌倉時代を代表する仏師である運慶の四男である康勝が作った木彫である。
開いた口から木造の6体の阿弥陀仏が現われる様は、空也上人が「南無阿弥陀仏」の6文字を唱えると阿弥陀如来の姿に変わったという伝承を表している。六体の小像は針金でつながっている。僧侶の肖像彫刻は坐像で表すものが多いが、本像は、疫病が蔓延していた京都の街を、鉦を鳴らし、念仏を唱えながら悪疫退散を祈りつつ、わらじ履きで歩く様子をリアルに表現している。首から鉦を下げ、右手には鉦を叩くための撞木、左手には鹿の角のついた杖をもっている。お寺の安置では、ほぼ正面からしか拝観できないが、今回の展示では360度から見ることが可能。
様々な角度から見る重要文化財「空也上人立像」
六波羅蜜寺の創建から平安末期、平家の世から鎌倉時代へ
海洋堂が手がけた六波羅蜜寺初の公認フィギュア
音声ガイドは仏像好きの人気声優、小野大輔
開催概要
会期 :3月1日~5月8日
会場 :東京国立博物館 本館特別5室(上野公園)
開館時間 :9時30分~17時00分
休館日 :月曜日、3月22日(ただし3月21日、3月28日、5月2日は開館)
観覧料金
事前予約(日時指定券)推奨
正門窓口でも当日券を購入出来るが、混雑状況により入場を待つ場合や、当日券の販売が終了している場合がある。
日時指定券の販売開始日等の詳細は確定し次第、展覧会公式サイトで知らせる。
一般 1600円
大学生 900円
高校生 600円
※中学生以下、障がい者とその介護者一名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳等を提示。
※障がい者とその介護者一名は事前予約(日時指定券)不要。
交 通 :JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
展覧会公式サイト:https://kuya-rokuhara.exhibit.jp/
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