アドバイス:インチキな領収書は、調査が入ったらアウト!
季節や時期によって収入や経費が前後するフリーランスが遭遇した「白紙領収書の誘惑」について、高橋創税理士がアンサー。
白紙の領収書問題については、世の中が不透明だった時代に、節税というより脱税に黒に近いグレーな節税に使われていました。まさに、直樹さんがおっしゃる通り、領収書に自分の好きな金額を書いて経費として計上するのです。しかし、今は多くのことが透明化しています。白紙の領収書の唯一にして最善の使用法は、「実際に使用した日付と金額を入れる」です。
そもそも、領収書は「公的な文書」とみなされます。領収書には、それを発行した店(人)の名や住所が記載されていますが、それは発行者によるが領収書に対する責任が法的に発生していることを意味しています。ですから、その受領者が自分で金額を水増しし、公(税務署)に提出した場合には、脱税だけでなく「文書偽造」という違法の行為にもなってしまうのです。
もし、直樹さんに税務調査が入った場合、調査官は領収書の筆跡やインクの素材なども見ます。調査官は、領収書を見抜くエキスパート。彼らが違和感を覚えれば、それは調査対象になり、お店にまで帳簿の確認をされる可能性もあるのです。
では、白紙の領収書をもらったら、必要事項(宛名・日付・金額)をお店(人)に書いてもらいましょう。それができない場合は、自分で裏に必要事項や、誰と食事をしたかなどのメモを残してください。それを正しく申告すればいいのです。
追記すると、もし直樹さんが取引先に「白紙の領収書を書いてほしい」と頼まれたら、「ウチ、オヤジが税務署職員だったんです」などと嘘も方便をうまく使い、断ってください。もし、発行した場合には、税法違反幇助という違法行為に該当指定しまいます。
ちなみに、現在では帳簿作成において「最強なのはレシート」です。消費税の税率も明細も一目瞭然。レシートでもらって、クリアな納税を。
監修者紹介――高橋創税理士(髙橋創税理士事務所)
1974年東京都生まれ。東京都立大学経済学部卒業。専門学校で所得税法の講師,会計事務所勤務を経て2007年に新宿で髙橋創税理士事務所を開設。税理士業の傍ら新宿ゴールデン街のバー「無銘喫茶」の経営なども行う。
著書に『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(ダイヤモンド社,2021年)、『「知りたい!」がすぐひける 小さな会社の経理・人事・総務』(西東社,2022年)などがある。
髙橋創税理士事務所 https://takahashi-hajime.jp/

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