どちらか1台を選択するのは悩みが多い
BOOX Nova AirとNova3 Colorは、極めて似通ったスペックでモノクロかカラーの違いだけ。両方を使っている筆者でもどちらかひとつに……と言われるとなかなか選択、推奨が難しい2台だ。まずは実際に同じコンテンツを表示して比較してみよう。
前述したように1990年中期や末期のモバイルPC事情をご存じの方なら、「BOOX Nova3 Colorのカラーイメージは登場した頃のDSTN液晶みたいな雰囲気だ……」で通じるのだが、その感覚をご存じなければなかなか言葉で表現するのは難しい。
無理に表現するとすれば、「鮮明なカラーではなくオフ気味なカラー」というまどろっこしい表現になるが、カラーが一般的な昨今の雑誌やコミックを見る限り、モノクロの多階調より人の感じるダイナミックレンジは明らかに大きく、オフ気味のカラーでもカラー表示であるの価値は高いだろう。
実は今回、興味本位から今回、モノクロのBOOX Nova AirとNova3 Colorの両方のスクショを撮ってみたところ、極めて興味深いことが分かった。BOOX Nova Airは想定通り普通の結果だったが、Nova3 Colorの方はカラー表示の場合にできる限りナチュラルに見えるように、かなり強烈な色作りによる最適化がされているようだ。
その結果、スクショを目的として使うことが必要なら、BOOX Nova3 Colorはなかなかハードな選択だ。しかし、ごく一般的なパワポ系のプレゼンデータの表示や修正、ワードやエクセルなどビジネスアプリで出力されたPDF図版などの校正などなら、BOOX Nova3 Colorはなかなか使い勝手が良く便利だ。BOOXシリーズは、充電不要のワコム互換の各社のスタイラスが使えるのもうれしい。
いずれにせよ今回ご紹介した2台の手書き電子ペーパーモデルから、どちらか1台を選択するのは悩み多い。しかし、世界標準のAndroid搭載やクラウドストレージとの親和性、レイヤー対応によるイラスト、ドラフト図版作成の多様性、スマホやPCとのタイトな連携性のいずれをとっても、国内メーカーの手書き電子ペーパーとは格差は大きい。
今、読者諸兄が電子ペーパーデバイスに強い興味があるなら、衝動買いの鉄則である「どちらか悩んだら両方買え!」に従うもよし、まずBOOX Nova Airを速攻入手して、まだテクノロジーの伸びしろのありそうなカラーモデルを先送りにしてもう少し待つのも良いだろう。常にガジェットとの出会いと選択は興味の尽きない楽しく危険なゲームだ。
今回の衝動買い
・アイテム:BOOX Nova Air
・価格:4万3800円
・アイテム:BOOX Nova3 Color
・価格:4万9800円
・購入:ヨドバシ.com
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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