Skyが名刺管理サービスに参入 自社製品との連携でセキュリティも強化
個人での名刺管理とクラウド利用に一石を投じる「SKYPCE」販売開始
2022年01月27日 09時00分更新
2022年1月26日、Skyは名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」の販売を開始した。エンドユーザーやパートナーを招いた同日のオンライン発表会では、SKYPCEのコンセプトや機能、ライセンス体系などについて詳細に説明された。
売りは使いやすさとセキュリティ あえてオンプレミス版で提供
昨年発表されたSKYPCEは、Skyにとっては初の名刺管理サービス製品となる。名刺データを企業で管理すべき重要な個人情報ととらえ、ユーザー企業が運用管理できるオンプレミス版ソフトウェアを提供。ユーザー企業が保有・管理するサーバー上でデータを保存し、自ら情報を管理できる(関連記事:名刺データをユーザーに取り戻す Skyの新サービス「SKYPCE」の挑戦)。
製品の特徴は使いやすさ。シンプルな画面構成、直感的な操作性を謳っており、名刺の取り込みは対応スキャナで読み込ませるだけ。iPhoneアプリも用意され(Android版は後日提供予定)、対応の複合機も今後拡張していくという。スキャンされた名刺は、Sky側でデータ化され、オンプレミスのユーザー側サーバーに転送される。AIやOCRといった技術を使いながら、最終的にはオペレーターが作業することで、高い品質でのデータ化を実現するという。
データ化された名刺データはカード型のシンプルなインターフェイスで絞り込むことができる。名刺のサムネイルとともに別途登録した顔写真や名刺情報から引き出した所在エリアの地図表示も可能。検索にもこだわっており、会社名や名前、名刺交換日などのほか、名刺につけられたメモや企業独自の情報からも調べられる。特定の検索条件の保存も可能となっている。
もう1つの特徴であるセキュリティに関しては、情報漏えい対策ツールの「SKYSEA Client View」や仮想デスクトップサービス「SKYDIV Desktop Client」といった自社製品との連携が大きな売り。SKYSEA Client Viewとの連携では、名刺情報の操作ログの把握、画面キャプチャの禁止、名刺の大量ダウンロードの検知が可能。また、SKYDIV Desktop Clientとの連携では、名刺のローカル保存を禁止できる。
文化として根付く日本の名刺 根強い個人管理のリスク
SKYPCEの開発コンセプトについて説明したSky ICTソリューション事業部 副本部長 金井孝三氏は、日本のビジネスに根付いている名刺文化の課題を指摘した。新人研修では、名刺交換のマナーが周知されるのに、交換後の名刺の管理について研修などが行なわれないと説明。また、日本のビジネスで名刺を使い始めて約70年が経つが、名刺の管理が多くの会社でいまだに個人任せになっているとして、会社としての名刺管理の重要性を訴えた。
金井氏曰く、名刺はまとめると企業で管理すべき情報資産になるため、外部に持ち出すと顧客や取引先のリストを持ち出すのと同じだという。しかし、個人でクラウド名刺管理ツールを利用した場合、退職時に紙の名刺を回収しても、転職先で名刺情報を利用できてしまう。今回SKYPCEがオンプレミス版で提供されるのも、ユーザー企業が自身のセキュリティポリシーにのっとって情報を管理できるようにするためだという。
発表会の冒頭に登壇したSky取締役の多田昌弘氏は、「使いやすくて、安全」というSkyの描く名刺の未来をアピール。国内の200万社をターゲットに、まずは企業・自治体で1000ユーザーを目指すと意気込みを語る。また、SKYSEA Client Viewが25番手という最後発からスタートし、発売から15年で情報漏えい対策ツールとしてシェアNo.1までこぎつけた実績を強調。SKYPCEにおいては、「数年で業界No.1になる」と意気込んだ。
SKYPCEは今後も継続的に機能強化が図られるという。次期版ではオンライン名刺交換機能が強化されるほか、展示会やセミナーの支援機能、スマホ版のAndroid対応、SaaS版の提供なども予定されている。