実践的に使えるPython文法やライブラリの使い方を問う
「Python3エンジニア認定実践試験」を開始 年間で約3000人の受験を見込む
2022年01月18日 09時00分更新
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会は、Python3エンジニア認定実践試験を開始すると発表した。2022年2月27日に都内でベータ試験を実施し、その成果をもとに、今年夏から秋を目標に正式にスタートする。年間で約3000人の受験を想定している。
開発プロジェクトに参加できる知識やスキルを確認できる
Python3エンジニア認定実践試験は、Pythonを実践的に使っていく上で重要となるPython文法やライブラリの使い方を問う試験で、Python初学者の学習指針となることや、プログラマーのコーディング力の底上げを図ることを狙う。
Pythonエンジニア育成推進協会の寺田学顧問理事は、「Pythonを活用した開発プロジェクトに参加できる知識やスキルを持っていることを確認できる試験だといえる。企業では研修の成果を確認したり、プロジェクトメンバーの選定にも役立つだろう。企業やエンジニアには、こうした試験の存在が必要であると考えた」と新試験の背景について語る。
また、「Pythonを実務で利用する際には、ライブラリの使いこなしが重要になる。ライブラリの調べ方を知らなかったり、公式ドキュメントを見てもわからなかったり、ライブラリに対する発想が出てこないということがないような知識を備えていることが必要になる。Pythonを4、5年経験している人が、主教材を一読すれば、合格できるレベルのものになっている。難しい問題も含まれているが、多くの部分はPythonに関する基本的な知識を持ち、少し考えれば答えが出せるような内容になっている」という。
主教材として、「Python実践レシピ」(技術評論社刊)が用意されており、試験はこのなかから出題されることになる。「500ページ弱の本になっており、Pythoのエンジニアには知っていて欲しいという内容が網羅されている。なかには実践試験の範囲ではないものもあるため、出題しない範囲も明確に決め、それを公表している。また、標準ライブラリは対象にしているが、サードバーティ製パッケージは一般的なインストール方法、一部のコーディング規約以外は除いている。さらに、全員が知らなくてもいいようなもの、最近では使われなくなっているものも試験範囲から外している」とした。実際、主教材に掲載されている「数値の処理」、「並行処理」、「並列処理」は試験には出題されないという。
40問の選択問題が用意され、試験時間は60分。合格ラインの正答率は70%。試験は、全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンターで行う。受験料は1万2000円(税別)。
ベータ試験は、2022年2月27日午後2時から、東京・茅場町のコワーキングスペース茅場町で実施する。受験料は1万円(税別)。定員は10人。なお、ベータ試験の受付は、Peatixで行なっている(https://peatix.com/event/3137410/view)。
同協会ではベータ試験をもとにして、難易度調整を行なっていくという。また、必要に応じて2回目以降のベータ試験を実施したり、全国規模のベータ試験を実施することも予定しているという。なお、ベータ試験の合格者は本試験の合格認定も行なわれる。
経産省のガイドラインに2つの試験が掲載 受験者数も増大へ
「Python3 エンジニア認定実践試験」を実施するPythonエンジニア育成推進協会は、Python人材育成を支援することを目的に、2016年6月に発足。これまでに「Python 3 エンジニア認定基礎試験」と、「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」を実施してきた経緯がある。
2021年末には、経済産業省が定めるガイドライン「ITスキル標準(ITSS)」のISVマップに、2つの試験が掲載され、今後、受験者数が増加する見られている。
Pythonエンジニア育成推進協会の吉政忠志代表理事は、「Pythonは、人工知能や機械学習、ビッグデータ、データ分析、ネットワークインフラ、Webシステムという複数の分野において中心的に活用されており、Pythonエンジニアを中心とした、大きなビジネス市場の形成が期待されている。基礎試験とデータ分析試験を合わせた受験者数は、年間1万人以上、累計で3万人近くが受験し、想定を上回っているペースとなっている。2022年は年間1万7000人~1万8000人の受験者数が見込まれる」と説明する。
また、「Pythonエンジニア育成推進協会では、プログラミングフィロソフィーである『Pythonic』を理解したプログラマーを育成することを目的にしており、Python技術の普及や技術者育成の推進のための活動を行なっている。基礎試験やデータ分析試験は、初学者がPythonの知識やスキルの確認手段として受験したり、企業の人材育成の方針のひとつとして受験したりといった人が増えている」と説明した。
さらに最近の受験動向について寺田顧問理事は、「Pythonの最低限の知識を持っていることを確認し、Pythonを使い人たちの仲間として仕事ができるのかといったことを確認するために、エンジニアだけでなく、マーケティング部門の人材が受験する例もある」とコメントした。
なお、同協会は、2020年4月に、英Pythonソフトウェア財団の(PSF)のBronze Level Sponsorsに参加している。