最新パーツ性能チェック 第361回
同じCore i5-12400でも2種類ある?
Alder Lake-Sの廉価モデル、Core i5-12400&Core i3-12100の実力を検証!エントリークラスの覇者となれるか
2022年01月05日 03時10分更新
新リテールクーラー「Laminar RM1」はどの程度使える?
さて、今回は検証に使うCPUの都合から、360mmラジエーターを備えたハイエンドAIO水冷クーラーを使ったが、Core i5-12400はリテールクーラー「Laminar RM1」が同梱される。これを使った場合のパフォーマンスについても検証しておきたい。時間の制約からここでは検証CPUをCore i5-12400(H0)のみに絞っている。その他の検証環境は前述と共通だ。シリコングリスはLaminar RM1についているものをそのまま利用した。
まずはCore i5-12400(H0)でAIO水冷を使った場合と、Laminar RM1を使った場合でどの程度ベンチマークに差が出るか「CINEBENCH R23」「Media Encoder 2022」「Rainbow Six Siege」で比較してみた。検証の条件は前述のテストと共通である。
CPU負荷の高いCINEBENCH R23やMedia Encoder 2022では、明らかにLaminar RM1では性能が下がることが確認できた。CINEBENCH R23のマルチスレッド性能では、Laminar RM1にすると26%程度のスコアー低下が確認された。ただ、CPU全体に対する負荷がそれほど高くないRainbow Six Siegeでは、平均フレームレートはわずか3%の低下に止まっている。実際にはよく冷える空冷クーラー、AIO水冷を使うにしても240mmや280mmあれば十分といったところだろう。
では、同じCore i5-12400(H0)環境でOCCTを10分回した時のCPUパッケージ温度やクロック、そしてCPU Package Powerはどう推移するのかも見てみたい。ここでは比較対象としてCore i5-12600K(AIOのみ)も追加した。温度などの測定は「HWiNFO」を使用している。
まずCPUパッケージ温度だが、360mm AIO水冷を使用した時は最大50℃なのに対し、Laminar RM1は72℃に到達。リテールクーラーなりの性能ともいえるが、明らかに全コアフルロードするような利用法には向いていないようだ。
この時のCPUクロックは、AIO水冷を使った時で3.9GHzをベースに時々跳ね上がるのに対し、Laminar RM1を使った場合は3.8〜3.9GHzの間を激しく変動するような挙動が見られた。Laminar RM1は明らかに冷却が足りずにクロックを絞っていることが分かるが、HWiNFOで見る限りはサーマルスロットリングのフラグはどのコアにも立っておらず、サーマルスロットリングを起こさない程度にクロックを絞っているようでもある。Core i5-12600Kはクロックが終始安定していることも考えると、Core i5-12400(H0)のクロック変動はPower Limit周りの制約であると考えられる。
そこでCPU Package Powerの推移も見てみると、Core i5-12600Kは99Wが天井であるのに対し、Core i5-12400(H0)はどちらのクーラーを使っていても最終的に65W、つまりPBPの値と等しいレベルまで落ちている。
まとめ:Core i3-12100は前世代から大きなジャンプアップ
Core i5-12400はハマれば11400Fより強い
今回の新CPU検証については、インテルから何の資料提供やブリーフィングのない状況で実施されたため、まだ謎の部分が多い。C0ステッピングとH0ステッピングの差(特にキャッシュのアソシエイティビティ)がどこまで性能に違いをもたらすかについては、今後さらに検証を行っていきたい。
ただ、Core i5-12400はCINEBENCH R23やLightroom Classicで旧世代であるCore i5-11400Fとの違いを見せつけたものの、実ゲームではまったく差がでないどころか、微妙に負けるシーンも見られるなど、今ひとつ精彩を欠く印象もあった。とはいえ、Core i5-12400の価格(1月4日時点で価格情報はない)が安ければ、LGA1700プラットフォームの入門用CPUとしてロングスパンで売れるCPUになることと予想される。
懸念されるマザー価格も、各社値段の安いB660を主力に据えている(H670はZ690と被るらしく、どこも絞っている様子)ので、Z690マザーのような状況にはなりにくいだろう。
インテルはこの安いAlder Lake-Sで、AMDが安価なRyzenを投入する前にエントリー市場を押さえにかかった。シェアはまだRyzen優勢と言われているが、数の出るエントリー市場を再度制圧したことで、CPUの勢力図はさらに五分に近づく可能性が出てきた。今後の動向から目が離せない。
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