CPUの計算力にはさほど影響のなかった
「CINEBENCH R23」
まずは「CINEBENCH R23」でシングル/マルチスレッド性能が変化するかを確かめよう。ここで大きく変化するようではDDR4はDDR5の代替とはならない。テストはデフォルトの10分のウォームアップの後にスコアー計測に入るモードで計測した。
マルチスレッドでトップを獲ったのはDDR4-3600、シングルのトップはDDR4-3200となったが、誤差レベルの差でしかない。DDR4-2666のマルチスレッドスコアーが明らかに低い感じはするものの、DDR4-3200以上の条件ではほぼ差はない。マルチスレッドスコアーでトップに立ったDDR4-3600と最下位のDDR5-5200を比べると、差異は0.3%と極めて小さい。メモリーアクセスが少ないベンチだからという理由もあるが、CPUの計算パワーにメモリー性能はほとんど関係しないということがわかる。
「PCMark10」でも差は確認できず
PCの総合性能ベンチマークである「PCMark10」の検証は“Standard”テストを利用する。
総合スコアー(青)でトップに立ったのはDDR4-3200、最下位はDDR4-2666。DDR5-5200とDDR4-3200の差異は0.5%と、こちらもCINEBENCH R23と同様に差が小さい。DDR4-3200のメモリー設定を忘れて2666で運用したとしても、総合スコアーは2.6%しか下がらないとすれば、DDR5に特別こだわらなくても、DDR4で十分第12世代Coreのパフォーマンスは堪能できるといえるだろう。
クリエイティブ系で効果あり?
「UL Procyon」
続いては「UL Procyon」で検証しよう。まずはPhotoshopとLightroom Classicを実際に動かすPhoto Editing Benchmarkの結果をみてみよう。
PCMark10のDCC(Digital Content Creation)テストではDDR5でもスコアーは劇的に伸びなかったが、このベンチではDDR4環境よりもDDR5環境の方が良いスコアーが出ている。特にLightroom Classicをメインに使うBatch Processingテスト(緑色のバー)ではDDR5で劇的にスコアーが伸びていることが示された。DDR5-5200とDDR4-3200を比べると実に11%も伸びている。
一方あまり違いのないImage ProcessingテストはLightroom Classicも使うが、Photoshopをメインに使う。同じAdobeの画像編集アプリだが、メモリー帯域の使われ方が全然違うようだ。
続いてUL Procyonの「Office Productivity Benchmark」も試してみよう。これは実際にWord/Excel/PowerPoint/Outlookを動かすテストである。
まず総合スコアー(青色バー)を比べると、DDR4の方がDDR5よりわずかに高いスコアーを出している。個別のスコアーに目をむけるとWordはDDR4が有利なのに対し、PowerPointはDDR5の方が有利であることが読み取れる。残ったExcelは中庸でメモリーの差がほとんど影響していない。Officeスイートではメモリーの差はあるが、差は体感できるほど大きくないと言っていいだろう。
「3DMark」では物理演算スコアーに注目
ゲームグラフィックの描画性能を見る「3DMark」でも比較してみよう。DirectX 11ベースの“Fire Strike”とDirectX 12ベースの“Time Spy”を利用した。
Fire Strikeでトップを獲得したのはDDR4-3600で、2番手にDDR5-4800、続いてDDR5-5200、DDR4-3200となった。DDR5を選択することによって生まれるメモリー帯域のアドバンテージはCPU関連のテスト(PhysicsおよびCombined)でも明確な差はみられない。
ところがTime SpyではDDR5の効果がおぼろげながら確認できた感じだ。注目したいのは物理演算テストであるCPU(緑色のバー)スコアーだ。DDR4-2666がもっとも低く、メモリークロックが上がるにつれCPUスコアーも上昇する。DDR5でも4800より5200の方がCPUスコアーが高いので、このテストに関していえばメモリー帯域の影響が強いということになる。
ただCPUスコアーが総合スコアー(青色のバー)に対する寄与率は高くないので、総合スコアーで大差はついていない。DDR5-4800とDDR4-3200を比べると4%しか変わってないため、DDR5は効果があるが差は小さいといえる。
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