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「イノベーションとビジネスをつなぐためには、目的をもってAIを利活用することが大切」

マイクロソフト、ローソン店舗支援AIなど「Azure AI」の取り組みを紹介

2021年12月14日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは2021年12月7日、「Microsoft AI」および「Azure AI」に関する最新の取り組みについての記者説明会を開催した。

 日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は、「イノベーションとビジネスをつなぐためには、目的を持ってAIを利活用すること、AIによる課題解決のナレッジを共有すること、経営層がAIスキルの育成にコミットし、従業員はAI能力の開発に向けた個人投資をすることが大切」だと述べたうえで、それを実現するのがMicrosoft AIのポートフォリオだと紹介した。

開発者、データサイエンティスト、ビジネスユーザーをカバーする「Microsoft AI」ポートフォリオ

日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏、同社 Azureビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの小田健太郎氏

マイクロソフト製品を通じた大規模なモデル学習が強み

 Microsoft AIは、Microsoft Azureが提供するエンドトゥエンドの機械学習サービス「Machine Learning Platform」、カスタマイズ可能な学習済みAIモデルを提供する「Azure Cognitive Services」、業務シナリオに特化したサービス群「Applied AI Services」といったコアサービス群(「Azure AI」)に加えて、Power AutomateやPower Appsといった「Power Platform」、Microsoft 365やDynamics 365といった「アプリケーション」までを含む広範なポートフォリオである。

 日本マイクロソフト Azureビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの小田健太郎氏は、マイクロソフトが提供するさまざまな製品を通じて日々、大規模なモデル学習を行っているのがAzure AIの特徴であり、その成果をマイクロソフトリサーチのデータサイエンティストがAIプラットフォームや製品に反映させている点が、他社にはない強みだとする。大量のデータを学習したことで、Azure AIではすでに人間の知覚能力を超えるものも生まれているという。

 「『Microsoft Teams』では200万時間以上のリアルタイム書き起こしや翻訳が行われ、『PowerPoint』ではAIを活用した10億枚のデザイナースライドが毎日活用されている。また『Xbox』でも、毎日8000万人のユーザーに対して機械学習でパーソナラズした情報を発信している」(小田氏)

マイクロソフトの各製品を通じて大規模なモデル学習を実施。人間と同等の知覚能力を備えるようになっている

 マイクロソフトリサーチではAIを重要な研究領域と捉えており、30年以上に渡ってAIの研究を行ってきた。現在は世界8カ所に研究拠点を展開し、1000人以上の研究者が在籍して、AIなどの研究を行っている。

 「製品のすぐ後ろにはマイクロソフトリサーチがあり、そこでフィードバックループを回すことができる点、顧客の異なるロールに対して適したソリューションを持っており、それらが機械学習オペレーション(MLOps)や共通データプラットフォームで提供されている点が特徴であり、強みだ」(小田氏)

企業内においても、共通プラットフォームを通じて組織全体から収集したデータをモデル学習に適用し、高度なカスタマイズを進めることができると説明した

 Azure AIにおける最新の取り組みとして、Azure Cognitive Servicesのひとつとして11月に発表された「Azure OpenAI Service」を紹介した。これは非営利のAI研究組織「OpenAI」とのパートナーシップに基づき開発されたもので、マイクロソフトでは2019年からOpenAIと戦略的パートナーシップを構築してきた。

 「新たなAzure Open AIサービスは現在、招待制での利用に制限しているが、わずか数分でプロトタイプへの構築が可能。『責任あるAI』をベースに適用しており、エンタープライズレベルのセキュリティを実現できるものになる」(小田氏)

新たに発表した「Azure OpenAI Service」と、これまでのOpenAIとの取り組み

国内でもビジネス導入事例多数、新たにローソンとの協業も発表

 さらにAzure AIでは現在、「ナレッジマイニング」「会話AI」「ドキュメントプロセスの自動化」「機械翻訳」「音声の文字起こしと分析」の5つのシナリオでのAI導入が進んでいる。小田氏は「とくにナレッジマイニングと音声の文字起こし、分析は顧客の要望が多い領域であり、これらへの投資を進めている」と説明する。

AIの導入分野と期待できるビジネス効果

 すでにAzure AIを活用している国内の顧客事例、協業事例も紹介した。

 商業空間やイベント空間などの総合ディスプレイ企業である丹青社では、事業部門を横断したナレッジ共有プラットフォームをわずか5カ月で構築。非構造化データを対象にAzure Cognitive Searchを活用して、リアルタイムですばやくナレッジを検索できるようになったという。

 また、ソニーセミコンダクターソリューションズとは協業を行い、東京・田町に共同イノベーションラボを開設して、AIカメラソリューションの開発に向けた技術トレーニングの本格提供を開始。日本マイクロソフトのパートナー企業であるEBILABは、共同ソリューションラボでの技術トレーニングを通じて、小売業向け棚監視ソリューションを開発。実証実験を実施中だという。

丹青社の導入事例、ソニーセミコンダクターソリューションズとの協業事例

 今回はローソンとの協業も発表された。これまでコミュニケーションプラットフォームとしてMicrosoft Teamsを利用し、業務効率化を目的にPower Platformでのローコード/ノーコード開発にも取り組んできたが、新たにAzure AIを活用し、Azure Cognitive ServicesやAzure Machine Learningを用いて店舗のDXを促進していくという。

 具体的には、店舗運営を支援するAIシステムをAzure上に構築し、店舗レイアウトにあわせて設置したカメラやマイクなどを通じて、売り場の通過人数や滞留時間、購入率などを匿名化した形でデータを可視化。「店舗運用支援AI」として、データを分析できるようになるという。

 「AIによって従業員のイマジネーションを増幅させ、より多くのことを達成できるようにすれば、ビジネスを成長させることができる。AIは、人間の能力を拡張するために設計された一連のツールであり、ビジネスを成長させるためにAIを導入する企業が各方面で見られている。顧客接点、製品開発、オペレーションの最適化、従業員の能力向上にも変革をもたらしている。すべての産業がソフトウェアで変革したように、あらゆる組織がAIを活用する世界に近づいている」(上原氏)

新たにローソンと協業。店舗運営を支援するAIシステムをAzure上に構築し、店舗DXの推進と顧客満足度向上を図る

 なお日本マイクロソフトでは、オンラインイベント「Azure AI Days 2021 Winter」を12月14日、15日に開催する(各日13時から)。「データドリブンなビジネス・組織を支えるAIの力」をテーマに、Microsoft Azureを活用したベストプラクティスを提案。とくにAzure AIを活用したAI利活用事例などを広く紹介するという。

 企業の経営層やビジネスリーダーのほか、CTO、CIO、CDO、情報システム部門、データ分析部門、データサイエンティストなどを対象にしており、参加費は無料(事前登録制)。

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